ギクの日記
ぼちぼち書いております
2009年08月01日(土)  鮮血の花火

友達の家で今夜に開かれる江戸川花火大会について4人で盛り上がっていた。
その場には5人いたが、残り1人は盛り上がれずにいた。

2人は結婚していて、もう2人はカップル。
残った僕は、4人の「愛」「恋」「のろけ話」「結婚話」に口を挟まず聞くだけに徹していた。
熱い、熱すぎる、僕の目前には炎の壁がそびえ建ち行く手を阻んでいる。
目には見えないが 「触るとヤケドします」 と書かれた紙が壁に貼られていた。
会話の輪の中に入るには、お酒を飲みまくればいい。
お酒を飲みまくれば、確かにその壁を乗り越えられる。
だが、乗り越えたところで、飛んで火に入る夏の虫みたいに
自ら身を滅ぼすような結果に陥るのが目に見えている。
そう感じ取った僕は、ただただ炎の壁の外側でなりゆきを見守っていた。

次第に熱々会話にも飽きたのか、標的を僕にかえ一斉攻撃を仕掛けてきた。
「そろそろ、彼女作らないの」
「ドラクエでアイテムを探すより、先に彼女探さないと」
「理想が高すぎるんじゃない」
「四年もいないなんてありえないわ」
悪意のカタマリのような4人から繰り出される波状攻撃の嵐。
僕の過去を知っている分、余計にタチが悪く的確に的を射ている。

話の渦中にいた僕は気づかなかった
いつの間にか炎の壁に囲まれ退路を失っていたことに。

次から次へと飛んで来る言葉のナイフ
逃れようのない攻撃に突き刺さる僕の心。


しばらくして、花火が打ちあがる時間になり家から出た5人。
ドーン! という音とともに歓声を上げる通行人
花火よりも通行人のカップルばかりがやたら目につく僕。
前にいる四人の後ろから、そっと歩いていた僕。
空を見上げると大輪の華。

あぁ〜〜〜っ。
あの花火は僕の引き裂かれた心の傷口から
飛び散った血で出来てるんじゃないかなぁ〜〜〜。

そう思った。


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