「オヤシラズを抜きますよ」 そう歯医者さんに宣告され、危うく失神しそうになった男。Gikuです。
先週ぐらいから、右上の奥歯がギシギシ痛くて、一向に痛みは引かず これはおそらく虫歯だろうと思っていて、気は進まないが 重い足取りで仕方なく歯科に行くことにした。 初診だったため軽く歯の診断をしてから、歯のレントゲン写真を撮った。
その写真を見ながら、歯医者さんが一言「今からオヤシラズを抜きます」 「今からオヤシラズを抜きます?」とボクは思わずリピートしてしまった。
どうやら歯医者さんの話だと この痛烈な痛みは虫歯からではなく オヤシラズが隣の歯を押していて、その影響で痛みが生じているらしい。 このままオヤシラズ放っておくと 状況はさらに悪化し、歯茎や隣の歯を傷めてしまうため 早急に抜いた方がいいみたいです。
ボクは今まで一度もオヤシラズを抜いたことありません。 初体験の抜歯は、想像するだけで気絶しそうになる恐怖が付きまとう。
「大丈夫、オヤシラズは抜いても痛くはないから」 まるで異性を口説くような優しい声で歯医者さんは言っていたが どんな歯でも抜いたら痛いに決まっているじゃないか〜。
そう思ったボクは 「オヤシラズは抜かない。と一昨年に死んだ金魚と約束したんです」 などと意味不明な自分の信念を押し通して、この場から逃げ出そうとしたが 女医さんが診察台を倒し、何やら注射針を準備し始めている。
駄目だ、もう逃げられない。と悟った。
「はい、少しチクリとしますよ」と、まだ心の準備が出来ていない内に 「ブスーッ」と歯茎に麻酔の入った注射を打たれた。 一ヵ所だけかと思っていたら、まんべんなく五ヶ所も打たれた。 五ヶ所も打つ必要があるというコトは、よほど痛いってコトですよね。 なんだかこの時点で歯を抜くことに対し、すごく不安で動揺していた。 今すぐにでも、走ってどこか遠くへ逃げたいとも思った。
そして2分ほど診察台の上で麻酔が効くまで放置され その間、ボクは「大丈夫、痛くない、大丈夫、痛くない」 と呪文のように心の中で唱え続けた。無意味に「ルーラ」とも唱えた。 「MPが足りません」とオヤシラズにツッコミを入れられたような気がします。
そんな、長い長い2分が過ぎ、麻酔が効き始めたのか? 奥歯の感覚が徐々になくなってきたような気がしてきた。
そこへ歯医者さんが戻って来て 「はい、口を大きくあけてください」 ボクは、ただただ言われるがままに口を大きく開ける。 歯医者さんの手には、おぞましい大きな金属の器具が握られていた。 その器具でオヤシラズを「ガッシ!」と掴んだ。 「それでは、歯を抜きますからね、ちょっと嫌な音がするけど我慢してね」 そう言い残し、力任せに何やらグリグリしている。
グリグリの作業が終わったかと思うと今度は 「ガリガリ、ギリギリ、メリメリ」と耳に残るイヤな音を立て始めた。
肩に力が入っていたのか 「痛いですか?」と歯医者さんはボクに聞いてきた。 もちろん麻酔が効いているので痛みはなかったので 「いぁたぁく〜なぁいでぇす〜」と口を開けた状態で答えた。 本当は「麻酔が効いるので痛みはないけど 骨を削るような音が耳に聞こえているので痛々しい」と言いたかったが 口が開いたままなので、思うように言葉が出ないので諦めた。
また「ガリガリ、ギリギリ、メリメリ」と イヤな音を立てながら引っこ抜く準備をしている。
歯医者さんが力を弱めたので これから引っこ抜く作業の本番に移るのかと 再度、心の準備をしようとしたら
「はい、取れました」 と歯医者さんが言った。 「・・・・え!?」っと疑問に思った。
なぜなら、所要時間は一分もかからなかったのではないか? と思うえるほどあっさり、あっけなくオヤシラズが抜けてしまったからだ。
なんか拍子抜けである。
あまりにも拍子抜けだったので、抜けたオヤシラズを見て あんだけ苦しめておいて、あっさり抜けやがって もうちょっと粘れよと言いたくもなった。
抜いた後はガーゼを咬んで3分ほど止血処置をして終わり。
なぜか抜いたオヤシラズを記念に貰った。 なんの記念かはわからないが 可愛らしい歯の形をした容器に入れてくれた。 この容器はおそらく、子供の歯を抜いたときに入れる容器だろう。
それにしてもオヤシラズってあんなに簡単に抜けるんだ。 あんなにビビっていた自分が情けなく思えてきた。 なんだか思っていたより全然痛くないし これだったら残りの3本も抜いちゃおうかな なんて安易な気持ちで思っていたら・・・
2時間が経ち麻酔が切れてきた頃に オヤシラズがあった場所が、ズキズキ痛み出してきた。 歯医者さんに貰った、痛み止めの薬を飲んだかが効果はいまひとつ。
どうやら、二日間はこの痛みと戦わなくてはいけないらしい。
残りの3本も抜こうかなと思っていたが、前言撤回します! もう二度とオヤシラズは抜かない。と心に誓った。
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