月に舞う桜
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年々厭世的になって、昔はすんなり共感できたり希望を感じたりした音楽や小説も、いまはもう心の糧にならなくなってしまったものが少なくない。 そんな、いまの私でも……いまだからこそ、心が揺さぶられる曲がある。 例えば、Coccoのアルバム『スターシャンク』の最終曲である『フリンジ』。
すっかり大人になってしまって、もう若くはなくて、「愛してる」のためにだけ今日も明日もあるような、そんな「愛してる」はもうないけれど(そして、本当はかつて一度もなかったけれど)、無数の傷口を開けたまま朝を待ちつつ泣き叫ぶことも許されるような、そんな曲。
「大人になって いつの間にかこんなザマで 会えなくなって でもまだ生きてて」 「覚えてるって 大きな声で届けてなんて わがままだって百も承知で」 「あの頃なんて戻ってくるわけなくて 惨めになって まだ眩しくて」
▼Cocco『フリンジ』歌詞 https://music.apple.com/jp/album/star-shank/1480336033
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