月に舞う桜
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2020年07月31日(金) |
【本】村田沙耶香『マウス』 |
村田沙耶香『マウス』(講談社)読了。
それぞれのやり方で生き延びてきた少女二人が交わることで、一歩外に出て新たな生き延び方(世界との対峙の仕方)を互いに獲得していく話。 著者の作品独特のえげつなさや奇妙さが薄まっているので、『地球星人』や『生命式』のような強烈な世界観が苦手な人でも読みやすいかもしれない。
本来はノンフィクションより小説のほうが好きな私が、最近は心底面白いと思える小説に出会えなくて、ノンフィクションを読むことが多くなっていた。 でも、村田沙耶香に出会ったおかげで、夢中で読める小説が再び現れ、どっぷりつかることができている。 あと、この長編小説『マウス』を読んで、やっぱり私は、基本的には短編より長編小説のほうが好きだと再認識した。
「息抜きしなきゃいけないほど、息苦しい場所から、どうして出ようとしないの?」 「協調性って? 高いとえらいの? 協調するって、そんなにいいこと?」 「何で、私が私の性格を、誰かに許されなきゃいけないの」 (村田沙耶香『マウス』より)
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