月に舞う桜

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2019年05月01日(水) 「もしもし亀よ」に乗せて

新元号「令和」の出典である『万葉集』の「梅花の歌32首」の序文は、後漢の詩人・張衡(役人、学者でもある)の漢詩「帰田賦」が元になっているそう。
漢詩を参考に『万葉集』の序文を作るあたり、さすがに昔の人は教養がある。自国より何歩も先を行っていた他国の文化を取り入れ、そのエッセンスを大切にしつつ自らも手を加えて新たな文化を築いたところに、他者への敬意と謙虚さ、豊かな創造性を感じる。

一方で、「元号で初めて国書を典拠とした」と強調し、それが何か素晴らしいことであるかのようにアピールするのは、歴史の深みや他者との繋がりや先人たちの心を無視し、文化をぶつ切りにするようで、無教養で謙虚さがないと思う。

新元号が発表された日、首相はNHKの番組で
「『令和』というのは、いままで中国の漢籍を典拠としたものと違ってですね、自然のひとつの情景が目に浮かびますね」
と言ったらしいのだが、大伴旅人が聞いたら泣くんじゃないだろうか。

さて、後漢というワードから、中学か高校のとき試験対策として「もしもし亀よ」のメロディーに乗せて中国の国名順を覚えるのが流行ったことを思い出した。
手拍子しながらどうぞ。


もしもし亀よ 亀さんよ
殷 周 秦 漢  三国 晋

世界のうちで お前ほど
南北 隋 唐  五代十国

歩みののろい ものはない
宋 元 明 清  中華民国

どうしてそんなに のろいのか
中 華 人 民 共 和 国


桜井弓月 |TwitterFacebook


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