月に舞う桜

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2016年09月01日(木) Nothing is impossible

実は、昨日付で職場を退職した。

3年8ヶ月、障害者の支援施設で支援スタッフとして働いた。
この会社は、私にとって3社目だった。
最初の勤めた会社では「働くとはどういうことか」を学び、2社目では「仕事を自ら構築する」ということを覚え、3社目ではいったいどんなことを身につけられるのかなとワクワクしながら入社した。
結果、障害者支援の仕事を通して、障害者としての自分自身と向き合わざるを得なくなり、自分自身の自立について考えるようになった。それが、3社目での一番の収穫かな。

支援の仕事をするうち、「いやいや、人のこと支援してる場合か? 自分の将来はどうなのよ?」という思いが強くなっていった。
利用者さんに助言や指摘であれこれ言ってるけど、私自身が本当はちっとも自立していない。
幸い今は両親が健在だけれど、彼らも年を取りつつあるわけで、いつ病気を患うか分からないし、いつかはこの世を去ってしまう。両親が元気なうちに、彼らの手を借りずに生活していけるように整えておかなければならない。

でも、例えばヘルパーをフル利用して独り暮らしなんてことが私にできるのか? という不安の方が大きかった。
いろいろと理想を掲げてみたって、現実的には難しいのではないかという思いがずっと心を占めていて、絶望しかけたりもした。
何かしなければ事が始まらないので、とりあえず支援機関に登録したり、グループホームやいろんなところを見に行ったりしたけれど、フルタイムで働いているとなかなか物事が前に進まない。それに、ヘルパーを利用するとしても、独り暮らしなら自分でやらなきゃいけないことも増えるわけで、フルタイムで働くのは体力的にも精神的にも無理だろうと思った。
そんなこんなで、1年以上前から辞めるタイミングを悩んでいた。

自分の将来の心配と、自立生活に向けて動きたいのに思うように動けないもどかしさに加えて、仕事のストレスと疲労も増して、今年の春頃から苛々が止まらない状態になった。

そんなとき、YOSHIKIが"Nothing is impossible"と言った。確か、ニコ生だ。

私は、「なせば成る」という言葉が嫌いだった。
そんな精神論を持ち出されたって、現実問題、どうにもならないことはたくさんある。やろうとしてもできないことが多いのに、いったいどうしろと?

だけど、YOSHIKIが"Nothing is impossible"と言うなら、その言葉は信じることができた。
YOSHIKIは他人に向かって言ってるわけじゃない。YOSHIKIはたぶんそれをいつも自分に言い聞かせていて、実際に多くの壁をぶち壊して不可能を可能にして見せてくれる。
だから、何の躊躇もなくその言葉を受け止め、信じることができた。

そして、私は目が覚めた。

なんだ、簡単なことだ。
不可能なんて決めなくていいし、私は、自分のやりたいようにやっていい。

YOSHIKIは前からこの言葉を言っていたのだろうけれど、私がやっとキャッチできる態勢になったのだ。
これまでは、聞き逃していたか、聞いたり目にしたりしてもしっかり受け止めることができていなかった。
私が必要としているときに、いいタイミングで、YOSHIKIがまた"Nothing is impossible"と言ってくれた。

悩んでるうちに時間ばかり過ぎるので、まず退職を決めた。
6月初めのことだ。
仕事を辞めると決めたら心がすっと軽くなり、苛々も消えて精神的に安定したように思う。
上司に意向を伝え、同僚たちにもアナウンスしてからは、引き継ぎや荷物の整理を早め早めにどんどん進めていった。不要な書類はシュレッダーにかけ、私物は少しずつ持ち帰り……と、こういうことは昔から、ちゃっちゃとやらないと気が済まない。おかげで、出社最終日だった昨日はデスクに必要最小限の物しか残っていなかったので、片付けが楽だった。

本当は、「自立生活に向けて動きたい」というのは退職理由の6.5割くらいだ。あとの3.5割は、のんびりしたいとか、支援者として限界だとか、まあ諸々だ。
先のことは、具体的には何も決まっていない。いつまでに何ができるのか、どこまでできるのか分からない。
正直、所属先がなくなることに対する不安もある。
けれど、やりたいことも、やらなきゃいけないこともたくさんあるから、それを一つずつ地道にやっていけば、道は繋がっていくと思う。まだ確実ではないものの、次の道へ繋がりそうな話がすでにある。
とりあえず、じっくり焦らずに自立の生活基盤を整えて、それから、生活スタイルに合った仕事を探そうと思う。

今回の退職が自分にとって正解かどうかは、いま決まることじゃない。これからの自分の生き方しだいだ。

ずっと昔、やはりYOSHIKIが言っていた。

「未来によって過去は変えられる」

XJAPANが解散して、hideが亡くなったあとで、まだToshlが戻ってくる気配は全然なかった頃だ。
そのとき、私はその言葉に懐疑的だった。
hideは死んじゃったのに、TOSHIは戻って来ないのに、YOSHIKIはいったい何を言っているんだろう。どんなに頑張ったって、過去を変えられるわけないじゃないか!
そんなふうに感じていた。

でも、今ならその言葉の意味がよく分かる。
YOSHIKIは私のずっとずっと先を行ってるから、私はいつも、ずいぶん後になってからYOSHIKIの言葉に追いつくんだ。

私がこれからしっかり地に足を付けて生きていけば、この退職は絶対正しい選択になる。
そういうことだ。

まずは、だらだらして体がなまらないように、規則正しい生活を心がけねばなあ。


桜井弓月 |TwitterFacebook


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