月に舞う桜
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2016年05月02日(月) |
タイムマシンはないから |
4月のある日、ふと思ったんだ。 あぁ、あの頃の貴方は、いまの私より年下なんだなあ、って。 いまの私より若かったのに、こんなにも大きなものを遺して、みんなに愛されて、貴方はなんてすごい人なんだろう。
貴方と共に歩んだヴォーカリストが4/29と4/30にライブをやってね、2日間ともすごく風が強かったんだよ。 貴方が来てるからだなあって思った。
ヴォーカリストが言ったの。 自分で道を選択することには責任が伴うから、大変なこともある。でも、自分の足で、自分で選んで一歩一歩進んだ先には、幸せがある。 って、そう言ったんだ。
いつだったかなあ、職場で「もしタイムマシンがあったら」って話になったんだ。 タイムマシンがあったなら、私は絶対に18年前に今日に戻って、貴方の元へ飛んでいく。そして、全力で貴方を止める。 貴方は酔っ払っていて私の言うことなんてちっとも聞いてくれないかもしれないけれど、それでも、貴方を引っぱたいて、冷水を浴びせて、貴方の酔いが醒めるのを待つ。 貴方が正気に戻る瞬間、貴方に見つかる前に、私はタイムマシンに乗って現代へ戻ってくるよ。「変な女に引っぱたかれる夢を見た」と貴方が思ってくれるように。
でもね、タイムマシンはないんだ。
だから、貴方を助けに行けないよ。 私たちは、いまと未来を生きることしかできない。
私はまだまだ人生に迷うことも絶望することもあるけれど、ヴォーカリストの言葉を道しるべに、自分の意志で一つ一つを選び取って、歩いて行くよ。
ねえ、私たちには、いまと未来があるの。 悔しいでしょう? 悔しいと思ってくれる?
貴方の盟友ギタリストが、病に倒れて、私たちはみんなとても心配して、だけど彼は危ないところを脱したよ。 彼を守ってくれて、ありがとうね。 彼が完全復活するように、これからもどうか彼を守ってね。
彼のことも、彼を愛している人たちのことも、どうか守ってください。
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