月に舞う桜
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忘年会シーズンがやってきて、ふと思い出したこと。
気の置けない人たちと楽しくお酒を飲むのは好きだ(私自身は、あまり量は飲めないけれど)。 でも、酔っ払いや、酔っ払いが吐くにおいは嫌いだ。特に金曜日の夜なんかは、いつもより帰りが遅くなると電車内に「酔っ払いのにおい」が充満して不快になる。
けれども、好意を持っている相手なら話は別だ。
昔々に好きだった人も、それほど昔じゃない頃に好きだった人も、彼らは皆一様に、酔っても私にとって不快なにおいを発することはなかった。 それどころか、私は、お酒が入った彼らから甘い香りを感じることさえあった。
「あばたもえくぼ」とは少し違う。 おそらく、私の脳が快と感じる彼らのフェロモンにお酒があいまって、より魅惑的な甘い香りを放つのだ。
そして、私の脳が夢から醒めたとき、甘い香りはたちまちただの「酔っ払いの不快なにおい」になってしまう。
人間の五感は不思議だ。
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