月に舞う桜

前日目次翌日


2014年04月07日(月) 懐かしさだけならいいけど

3月最後の金曜日、会社帰りにみなとみらいに行って念願のハーフトレンチを買い、お好み焼きを食べた。
そのお好み焼き屋では、私が高校生の頃にはやった歌が流れていた。
SPEEDの「Wake Me Up」、猿岩石、大黒摩季の「あなただけ見つめてる」、ポケビ……じゃないや、ビビアン・スーがボーカルだったグループのほうの曲、相川七瀬の「トラブルメイカー」。
とにかく、90年代後半の歌ばかりが次から次へと流れた。
そんなのを聞いていたら、懐かしさと言うよりも、もう戻れないことの痛みを強く感じた。
これから先の人生がどんなに長くても、あの頃には決して戻ることができない。失ったものは、二度と取り戻せない。失ったものが何なのか具体的には分からないけれど、私は「取り返しのつかなさ」を感じていた。
失ったもの……それがな何なのかあえて言うなら、おそらく「時間」だろう。子供の頃、若い頃の、掛け替えのない時間。その時間を使って経験すべきことを、私は経験してこなかったように思う。

過去は美化される。
本当は、若い頃の方が今よりずっと生きづらかった。だから、戻りたくはないし、時間を取り戻したところであまり意味はないのだろう。
それでも、いつの間にか美化されていく過去は、きらきら眩く感じられて、もう取り戻せないのだということが、痛い。

この週末、家でミスチルのベストアルバムを聴いているときも同じ痛みを感じた。
例えば、youthful days。
私はこの曲が大好きで、はやっていた頃、若いってなんて素晴らしいんだろうと思っていた。
今も、そう思う。
でも、同時に、私自身はもう若くはないのだ、とも思ってしまう。私はもう、youthful daysの主人公とは違うのだ。

人生に、後悔はしていない。
そのときそのときで、自分にとって最善の道を選んできた自信がある。
それでもやはり、「あの頃」を取り戻せないことは、悲しい。


桜井弓月 |TwitterFacebook


My追加

© 2005 Sakurai Yuzuki