月に舞う桜
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2010年07月10日(土) |
ToshI-CLUBミーティング |
六本木のリッツカールトンで開催されたToshIのファンクラブミーティングに行ってきた。 朝から快晴、ちょっと外に出るだけで肌がじりじりする強い日差しの中、腕を焼きながら会場へ向かった。ToshIの再出発後の記念すべき第1回ミーティングだから晴れて良かったけれど、とにかく暑い。
受付を済ませて(プレゼントの蜂蜜を忘れずに預けて)、開場を待った。 会場はグランドボールルームという大きなミーティングスペースだった。リッツなんて高級ホテルでやるんだから、清潔なテーブルクロスの上に花が飾られているようなテーブルと、どっしりした椅子が用意されているんだと思っていた。だから、多くの人がドレスアップしていた。私も上下を黒で統一し、髪は巻いてアップスタイルにしていた。バッグもアクセサリーも、ちょっとしたパーティー仕様のもの。 が、なんとオールスタンディングだったのである! 会場には客用のテーブルも椅子もまったくなくて、ドアが開けられた瞬間、ステージと客席を仕切っているテーブルめがけてみんなが我先にと突進した。私は、スタッフが最初に会場に入れてくれて、一番上手側の最前列(つまり安全な場所)に案内してもらえた。 特に女性は、ドレスやワンピース、浴衣や着物といった具合に華やかな出で立ちの人が多く、ハイヒールを履いている人もたくさんいた。それなのにスタンディングで、しかも前にぎゅうぎゅう押し寄せているんである。大変なこっちゃ。壁や照明が高級感漂う作りの部屋、足元はふかふか絨毯。でも、雰囲気はライブ会場。
ミーティングはToshIと私たちが好き勝手にやるんではなく、司会者がいた。 ToshIが登場する前に、この女性司会者が何やら話し始めた。
・ToshIがパリで買ってきたお土産を20名にプレゼントする企画があり、事前にToshIが抽選してある。当選者の会員番号と名前を読み上げるので、当選者はミーティング終了後に受付まで来て下さい。 →残念ながら私ははずれた。私の後ろにいた人が当たったみたい。ToshIのお土産をもらえるなんてうらやましい! でも、ToshIが手渡してくれるんじゃないのね。
・新しいソロアルバムを制作中。収録曲のタイトル発表と曲紹介。DVDとLP版のエッセイ入り写真集も付く予定。
大まかに言うと、この2点を喋っていた。 この司会者さん、どういう立場(ToshI側が雇ったのかホテルが雇ったのか、司会は本職なのか等)の人か分からないけれど、おそらく経験の浅い、素人もしくは素人に毛の生えた人と思われる。 一生懸命なのは伝わって来るので嫌な感じはないんだけれど、かむし話し方が下手なんである。司会者なのに、たどたどしい。 新アルバムの曲紹介は、ToshIが書いたものを読んでいるんだろうけど、それを書いたときのToshIのテンションや心情を把握しきれないまま読んでいるのか、いまいち伝わってこない。言葉が浮いてしまって、聞いている方が気恥ずかしくなる感じ。 会場中に「ん? この人、なんか違うな」という空気が広がって、苦笑が起きる。それでさらに緊張してしまう司会のおねえさん。焦って、かむ。そして、また私たちに笑われる。悪循環である。
さて、いよいよToshIが登場。 髪が伸びたね。少し太ったかな?
ToshI「えー、今日はToshI-CLUB……ToshI-CLUB……ToshI-CLUB……」
放っておくと延々とToshI-CLUB……が続きそうで、客席から「ファンミーティング!」と声が飛ぶ。
ToshI「そうそう。第1回目のファンミーティングです」
客席からの「ToshI、かっこいい!」「ToshIくん、ありがとう!!」等々の声に、「あんまり話しかけないように」とぼそっと答えるToshIくん。 えー、なんでよ! こんなに近いんだから、話しかけるにきまってるじゃないか。 何か声もテンションも低い。レコーディングやパリのイベントや記者会見で疲れてるのかなー。でも、キャパが小さいと、やる気なさげでグダグダ感を演出するのが好きだもんね。ToshIがグダグダ喋ると、「あー、今日は100%の気合いで臨まなくてもいいんだ。気楽に素のToshIとの時間を楽しめばいいんだ」って分かって肩の力が抜ける。
新アルバムの収録曲から、「星空のネプチューン」という曲を披露してくれた。 発売前の曲を一番初めに聴けるなんて、光栄です。やっぱりファンクラブはこういう特典がなくっちゃね。 距離が近いから、全身でToshIの声を浴びることができた。トークのときとは一転、当たり前だけど本気で歌うToshI。会場に響く聖なる声。あの歌声は、体じゅうの細胞を聴覚器官にして、全身全霊で受け止めたいと思う。ToshIの声は、腹の底に響くと言うより、頭上から……天から降り注ぐイメージだ。雲の切れ間から射す光みたい。できれば目を閉じて聴いていたい。でも、歌っている姿を目に焼き付けたいとも思うから、目を閉じることができない。 実は、この「星空のネプチューン」という曲自体はあまり覚えていない。ただ、「ToshIらしい世界観だな」という感想を持ったことは覚えている。
曲が終わって客席から歓声と拍手が飛ぶ中、司会者が「ToshIさん、ありがとうございました」と言った。それがとってつけたような言い方だったので、ToshIが、「それ、ありがとうって気持ちこもってる?」と突っ込んだ。 笑う客席、しどろもどろになる司会者さん。 ToshIくん、突っ込みたい気持ちはよーく分かるよ。でもね、あなたが出てくる前に、司会者のおねえさんは私たちの洗礼を浴びているのよ。だから、あんまりいじめないであげて。
司会者「ToshIさんに質問させて頂きたいことがあります。新しいアルバムについてですが……」 ToshI「えっ、ここから質問コーナーになるの!?」
噛み合わない二人。おもしろい! おもしろすぎるよ! おかげで、ずっと笑い通しの私たち。 ToshIが「ま、いいや。質問どうぞ」と言うと、司会者はCDの収録曲について訊いていた。 で、ToshIが答え始めたんだけれども、ToshIがずっと立ちっぱなしだってことに気付いたスタッフが、ステージに椅子を上げたわけですよ。ところが、この椅子の座面がちょいと高めで、何やら座りにくそう。結局、半ケツ状態で片足は伸ばして床につける体勢になりました。でも、それって決して楽な姿勢ではないわけで、何度か座り直す……が、やっぱり落ち着かず。 しまいには、「これ、なんかしっくりこないなあ」とぶつぶつ言うToshIくん。 噛み合わないToshIと司会者。噛み合わないToshIと椅子。いちいち笑う私たち。
ToshIはCDに加えてDVDの話もしてくれた。 ・CDは4曲入りで、ロックナンバーもある。 ・前作「武士JAPAN」同様、かなり赤裸々に自分の想いを書いた。 ・DVDには、2月の赤坂BLITZライブでYOSHIKI、SUGIZOとやった「雨音」が結構良かったから、それを入れる。 ・他にも、リハの様子など、舞台裏の映像が入る予定。 ↑これをToshIは「裏ビデオ」と呼んで、喜んでいた。客席から「やらしー!」との声が飛んだ。 ・今回は1曲のみだけど、そのうちライブ全編をDVDで出したい。 ・DVDに出ていない人たちからはクレームがついた。「俺が出てないのはどういうわけだ!」って言いながら酒臭い人と、「ToshIさん、それはないですわー」と関西弁で言う人が……。 ↑石塚先生とHEATHも元気かしら。
DVDはYOSHIKIのチェック待ちとのこと。それを聞いて、客席から「えー、それ、出るの!?」と、もっともな疑問の声が上がった。 よくぞ聞いてくれた! YOSHIKIが一枚かんでるとなると、心配なのはそこよね。 「アルバムは8月上旬に出る予定だけど、もし遅れてもYOSHIKIのせいじゃありません、僕の責任です」とToshIは言った。「最近は、こうやってお互い庇い合ってるんです」とも。あぁ、美しきは友情なり。
ToshIがひととおり喋って、司会者が次の質問。 が、「アルバムに付くDVDについてですが…」と言う。 これにはToshIも私たちもびっくり。いま、DVDのことも全部話したじゃん! 聞いてなかったんかい! たぶんね、この司会者さんは一生懸命なんだよね。「ちゃんとやらなきゃ。聞くべきことを全部聞かなきゃ」ってことでいっぱいいっぱいだったんだと思う。本物のプロなら応用力があって、ToshIや私たちの空気をうまく掴んで進行方法やトーンを変えたり、臨機応変に対処できるんだろうけど、そういう余裕はなかったみたい。 ToshIくん、仕方ないので苦笑しつつ再度DVDについて語る。 「この前のライブの雨音って曲をね……いまYOSHIKIのチェック待ちなんだけど……裏ビデオも付くんです」 客席、笑う笑う。
司会者おねえさん、めげずに質問を続ける。ジャケットはエッセイ付きの写真集で大型版なんだけど、「なぜ大型版にしようと思われたのですか?」と。 「なぜって言われても……」と、ちょっと困るToshIくん。 とりあえず、答えとしては「今はCDだけ、音楽だけ売る時代じゃないので、いろいろ付けようということになった」とのことらしい。 何はともあれ、8月上旬が楽しみです。でも、YOSHIKIが絡んでるってことなんで、気長に待ちます。あの感動のライブの全編DVD化も期待しておりますよ!
新アルバムの話が終ったところで、特別ゲスト……HEATHが登場した! いやー、HEATH来てくれるんじゃないかって実は期待してたけど、さっきHEATHの話題がちょっと出たから、来ないのかと思った。本当に来てくれるとは、嬉しいです。 ラフな服装、サングラスかけて帽子かぶって、もちろん髪はライブのときみたいに跳ねてない。相変わらず細いねー。
スタッフがもう一つ椅子を上げようとするのをToshIが制して、二人で椅子を半分こにした。半ケツずつで座りにくそうに並ぶオッサン……いや、素敵なアーティスト二人。
HEATH「たまたま通り掛かったから来てみたけど、今日はここは何の集まりですか?」 ToshI「俺もよく分からないんだよね。なんか、みんないるから来てみたんだけど」
Wボケですか! 司会者に「1月にはハリウッドでXJAPANのプロモーションビデオの撮影をされたそうですが……」と話をふられて、PVについて語り始める二人。 (それにしても、1月なんて、ずいぶん前のことを聞くのね) ToshIの「あのときは声が出なかったなあ」という言葉から始まり、かなり大掛かりだったとか、コダックシアターでやったとか、HEATHが何かのことを「ハリウッドじゃなくてダウンタウンだよ」と言うとToshIが「(客は)ハリウッドもダウンタウンも分からないんだから、適当でいいんだよ」とボソッと失礼な発言したり、客席から「(公開撮影に)行ったよー」と声がするとToshIが「僕も行ったよ」と言うので思わず「そりゃそうだろ!」と突っ込みたくなったり。 それから、「つい先日もPV撮影したんだよね」という話に。
ToshI「今回はYOSHIKIがディレクターだったから、これ撮影終わるのかなーって思った。これから編集作業があるけど、それも終わるのかなー」 HEATH「俺、行くまで曲を知らなかったんだよね。行く前にスギちゃんと話してて、『コードはこんな感じで、リズムはこんな感じで……』って教えてもらって、『ああ、だいたいそんな感じね』って」
みんな、YOSHIKIと関わると大変よね。 あとは、撮影で仮面を使った話も出た。
ToshI「仮面舞踏会の仮面……目だけ隠すやつをつけてて、途中で『はい、みなさん仮面を外して下さい』って言われて、みんな仮面の下はかっこよくメイクしてるのに、俺だけ仮面外してもサングラス……(仮面つけてるのと)あんまり変わらないじゃん!」
なになに、自虐ネタ!? Xの人たちって、アーティストなのにホント笑い取るよね。 話は2月のToshIライブのことにまで及んだ。HEATHはあのライブが今までで一番緊張したらしい。ToshIは、あのライブの中ではHEATHの曲(eagle sniper)が一番難しかった、と。
ToshI「今だから言えるけど、実はHEATHの曲が一番難しかった。最初HEATHが原曲(ばりばりロックな曲です)を持ってきたから、スタッフが『HEATHさんは今回のライブの趣旨を分かってるんですかね?』って」 HEATH「そうそう、アコースティックライブなのに、原曲渡したからね。あとでアレンジしたものを持って行ったけど、聴いてくれました?」 ToshI「ごめん、聴いてない」
いい加減である。むちゃくちゃである。でも、ライブでやったアレンジ、めっちゃ良かったなあ。できればもう一回ToshIの声で聴いてみたい。 ToshIとHEATHのトークはこれくらいだったかな。司会者が「HEATHさんは次のお仕事があるので……」と言って、HEATHは退場。
そのあと、とあるプロジェクトの発表がありました。 ただ、今回のミーティングでは司会者からもToshIからもプロジェクトの全貌が明かされず、私自身いまいち理解できていないため、ここに書くのは控えます。FCミーティングという限定的な場で発信された中途半端な情報を、訳も分からないまま垂れ流してはいけないと思うので。 このプロジェクトの曲を、ピアノ弾き語りで聴かせてくれました。ステージ上のグランドピアノはいつ使うんだ? と、ここまでずっと疑問だったけど、やっと登場。 この曲は、タイトルも歌詞もかなり衝撃的でした。ToshIは前アルバム「武士JAPAN」と新アルバムについて「赤裸々に思いを書いた」と言ったけれど、このプロジェクトの曲はそれを上回る赤裸々度じゃなかろうか。ミーティングの冒頭で披露してくれた「星空のネプチューン」をあまりよく覚えていないのは、こちらの曲が衝撃的過ぎたためです。 まっ先に思い浮かべたのは、97年のラストライブで涙しながらYOSHIKIと抱き合った姿だった。曲を聴きながら、ToshIは本当に純粋で不器用な人なんだな、と思った。 この曲が、いつか本当に世に出るのか、出るとすればいつになるのか、私には分かりません。できることなら多くの人に聴いてもらいたい、と思います。でもその反面、聴くのに覚悟とエネルギーがいるので、もう二度と聴くことができなくても、それはそれで良いかなとも思います。泣きじゃくっていた人もいるくらい、聴いていて苦しくなる曲です。CDになったとしても、私はたぶん頻繁には聴かないと思います。でも、きちんと手元に置いておきたい、そんな一曲でした。
本編はこれで終了。手を振りながら、ToshIが部屋から出て行った。 すぐにアンコールの手拍子が始まった。部屋の照明は全開にならない。やっぱりアンコールはあるんだね。これで終わりじゃ寂しいもん。
ほどなくしてドアが開き、アンコールに答えてToshIが再登場……
……って言うか、ToshIより先にYOSHIKIが入って来たんですけど!? まさかのYOSHIKI登場! なんてサプライズ! ジーンズにジャケット、薄い色のサングラス、頭には野球帽、きちんとセットしていない髪、「そこら辺のにいちゃん」って感じのYOSHIKI。
YOSHIKI「(ToshIに向かって)こんにちは」 ToshI「こんにちは」 YOSHIKI「今度、日産スタジアムでコンサートやるんだけど、みんな来る?」
なに、その「今度誕生日会やるけど、俺んち来る?」的なノリは。 もちろん、みんなで「行くー!」と即答しましたが。なんか、「いいとも」みたいな雰囲気ですな。
そして、YOSHIKIが「何かやる?」と、これまた軽いノリでToshIに言い、ToshIがピアノの上の譜面を見て曲を確認した。
ToshI「これ、(キーが)高い曲だなあ……」
ちょっと嫌そう。 その前にYOSHIKIが「ここであんまり歌わないで。このあともレコーディングあるから、声、大切にしてね」みたいなことをぼそっと言ってた気がするけど、結局キーの高い曲を歌うのね。 で、YOSHIKIのピアノで始まったのは、まさかまさかのROSE OF PAIN!! 冒頭の英語詩から「息を殺して見つめる」までをやってくれた。 この曲を生で聴くと、鳥肌が立つ。 やっぱりね、ToshIは自分で作曲したのよりYOSHIKIの曲を歌う方が合うし、ヴォーカリストとしての魅力が数倍も上がるよ。 ToshIの声、伸びる伸びる。距離が近いこともあって、どこまでも響きわたる声に圧倒された。正直、ROSE OF PAINのときはYOSHIKIのピアノなんて全然聴いてなかったなあ。
次はI.V.だった。ライブでお馴染みのサビの掛け合いを何回かやって、本格的には歌わず、サビの最後を張り上げた流れでForever Loveへ。 何なんでしょう、このお得感は! フルコーラスじゃないとは言え、Xを3曲も聴けちゃったよ。さすがFCミーティングだね。
Forever Loveは1番で終了。 これで、アンコールも含めて本当におしまい。 ToshIはステージの一番前まで来て、長く手を振ってくれた。 ロスやパリを飛び回って忙しい中、こんなふうにToshIを身近に感じられて近くで歌を聴ける機会を作ってくれて、本当にありがとう。 次に会えるのは、日産スタジアムかな。そのときは、今日に比べたら遠く遠くになっちゃうね。でも、遠くたって、また途方もなく無謀なエネルギーをくれるんでしょう。 そのときを、楽しみにしています。
仕事やプライベートで不安や悩みは尽きないけれど、きっと全部うまくいくよ。そんなふうに思わせてくれる貴方の声、貴方とのひとときは、なんて偉大なんだろう。
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