月に舞う桜

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2009年02月04日(水) 憎しみはなくならない、だから武器を捨てよ

憎しみからは何も生まれない、とよく言うけれど、それは違う。
憎しみは、本当にたくさんの悲劇を生む。
いや、上記の「何も」が「建設的なものは、何も」の意味であることは分かっている。けれども、それにしたって、憎しみが生み出す計り知れないほど大きな悲劇を、見ない振りしているような気がしてならないのだ。

帰り道、どこの誰だか分らない酔っ払いじじいが、後ろのほうから罵声を浴びせてきた。
もちろん振り返ったりはしなかったので、人相も何も分からないけれど、耳に入った言葉から察するに、あれは絶対私への罵声だった。
ちょうど手に携帯を握っていたので、もし私に近づいてきて何かしたら、すぐ110番してやろうと思っていた。人通りも多かったし、少し歩けば警察署があるから、怖くはなかった。声の大きさからすると、結構離れていたと思うし。

怖かったのは、じじいじゃなくて、自分のことだ。

もしもこの手に銃があったら、私は振り返って撃っていた。
冷静になれば「こんな奴、私の手を汚す価値もない」と思えるけれど、私、いざとなったら何をするか分からないと思って、ぞっとした。

だから、武器を持ってはいけない。個人も、国家も。
あれば、使ってしまう。
抑止力として、とか、持っていても使わなければいい、なんて言葉を私は信用しない。
自分のことも他人のことも、つまりは人間というものを、そこまで信用していないのだ。
私は、軍事力増強を訴える人たちこそ、むしろ楽天的で平和ボケしていると思ってしまう。手にした武器で自分や愛する人たちや自国や地球を滅ぼさない確信があるとしたら、どうしてそんなに、自分たちを信用できるのだろう。

憎しみを完全に消し去ることは難しい。
武器を捨てるほうが、よほど簡単だ。


桜井弓月 |TwitterFacebook


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