月に舞う桜

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2008年09月04日(木) EARTH SPIRIT(2)

TOSHI with T-EARTH ZEPP TOUR 2008 SUMMER EARTH SPIRIT
ZEPP東京公演1日目(9月3日)

の続き。
最前列という予想外の事態への興奮も少し落ち着いてきた頃、ずっと流れていたBGMの音量ががひときわ大きくなって、まずTOSHI以外の4人が登場した。

TOSHI with T-EARTHのメンバー↓(括弧内は所属バンド)
ボーカル:TOSHI(XJAPAN)
ギター:JUN(元Phantasmagoria)
ギター:TOYA(しゃるろっと)
ベース:RUCA(しゃるろっと)
ドラム:真矢(元LUNA SEA)
(ツアーの前半は、元La'cryma ChristiのLEVINがドラムを担当)

歓声の中、焦らすようにTOSHIが少し遅れて登場。「TOSHI〜!!」という叫び声が会場内を埋め尽くす。
すげーよ、TOSHIが目の前を歩いてるんですけど!

セットリスト↓(中盤は順番が間違っているかも……ごめんなさい)
FIRE CITY
KABE
大地の涙
遠い国へ
傷つきこわれてしまわぬように
涙の彼方に
BEAUTIFUL WORLD(TOSHI HEALING)
世紀 JIDAI(TOSHI HEALING)
EARTH IN THE DARK(TOSHIバージョン……つまり日本語)
FEEL YOUR LOVE
(アンコール)
20th CENTURY BOY(T-REX)
SAY GOODBYE TO YESTERDAY

初めの3曲は激しいロック。TOSHIくん、初っ端から飛ばす飛ばす。
間奏で、ペットボトルの水を客席に向かって撒き散らし、まだ中身のあるペットボトルを投げる。うちらは植物か! いや、植物なんだね、きっと。TOSHIからエネルギーをもらって、頑張って生きようって思うんだもの。
初めのうち、私たちの方にはあまり来てくれなくて、車椅子が並んでるから水が掛からないように気を遣っているのかなと思った。でも、それじゃあ水しぶきが飛んでくる程度で物足りない。ずっとTOSHIを目で追って「来て〜!」と視線で合図を送っていたら、中盤だったか後半だったか、私に向かって水を掛けてくれた……はず。あれは絶対私に向かってだった!……と思いたい。
ライブ中、たぶん2回は目が合った……と思いたい。って言うか、サングラス掛けてるから本当に目が合ったのかどうか分からんのよ。いや、でも、サングラスはしていて下さい。裸眼で目が合ったりしたら、私が逸らしちゃうから。

TOSHIはライブの最後の方まで、ぴょんぴょん跳ねたりして元気だった。ハードな曲のとき、片腕を伸ばしてくるくる回る姿も間近に見ることができた。
曲の合間には、Xのライブでオルガスムのときにやるような、拳を突き上げて掛け声の連呼。
ときどき、メンバーとちょっとお喋り。真矢は、相変わらずアイパーをネタにいじられていた。

TOSHI「真矢は今日も3時間かけてアイパーやってきたの?」
真矢、頷く。
TOSHI「三軒茶屋にある世界一のアイパーかける床屋さんで、かけてるそうです」
真矢、ドラムスティックを格好良くくるっと回すが、落とす。なんて、ナイスキャラ! 会場が和む。

ギターのJUNの髪は、HIDEと同じショッキングピンクだ。立ち位置も、HIDEと同じ。TOSHIがJUNに寄り添って歌っているとき、JUNには申し訳ないけれど、切なくなった。
同じ髪の色でギター弾いてて、場所も同じで、でもそこにいるのはHIDEじゃない。なんで、TOSHIが肩を組んでる相手がHIDEじゃないんだろう。
ごめんね。JUNは何も悪くないの。Phantasmagoriaとしてhideサミットに出ていたし、HIDEをとてもリスペクトしてるって何かで読んだこともある。だから、その髪の色でその位置に立っていても、嫌な気持ちにはならない。ならないんだけど、ね。

「傷つきこわれてしまわぬように」の「Ah〜」というところで、あの伸びやかなハイトーンボイスに酔いしれる。あまりの「神の声」に、無心でTOSHIを見つめていた。
もしかすると、上のセットリストは「傷つきこわれてしまわぬように」と「涙の彼方に」の順番が逆だったかもしれない。とにかくまあ、その2曲が終わって、一度メンバーが退場した。
ピアノと椅子がセットされ、TOSHIだけが再登場。会場のあちこちから「TOSHI、カッコイイ〜!」「TOSHIにゃん、かわいい〜!」と声が上がる。
歓声がちょっと途切れたところで、ある男性が野太い声で「TOSHI、カッコイイ!」と叫んだ。
するとTOSHIくん、すかさず低い声で「男はいらねぇ」と切り返す。
おお! ダークなTOSHIくん参上。Xのときとは違った一面が見られて、嬉しい。ライブハウスだと、こんなふうに客席とやり取りができるんだねぇ。ドームやスタジアムばかり行ってたんじゃ味わえない親近感だ。

しばしのトークタイム。
ツアーをやってくる中で、メンバーがどんどん成長していくのが分かって嬉しい、と言っていた。
20年前は髪の毛を逆立てて派手なメイクして、若い力で時代を切り開いてきた人が、今は若手の成長に笑みを浮かべている。そんなTOSHIを、誇らしく思う。「紅」に衝撃を受けた14年前から変わらないところも、時を経るに従って役割や立場とともに変わってきたところも、全部ひっくるめて。
ただ、誇らしく感じる一方で、ほんの少し寂しくなってしまうんだ。若手に伝えるべきことを伝えて育成するのも、大事な役割だし素敵なことだと思う。でも、私はやっぱり、TOSHI自身にいつまでも第一線でいてほしい。
若い人に何かを残そうとするのは、自分が歌えなくなる日を想定している部分もあるのだと思う。そういう将来を見据えられるのは、ちゃんとした大人だからだ。でも、TOSHI with T-EARTHを結成した動機を「叫べるうちに叫んでおこうと思った」と語るのをいたるところで見ると、やっぱり心の隅っこが、悲しくなる。TOSHIだって、いつかは叫べなくなるのだ。そんな当たり前のことが、ちょっと寂しい。

それから、ツアー会場にZEPPを選んだ理由は、T-EARTHのテーマであるエコと繋がりがあるからだと言っていた。
各都市にあるZEPPはすべて、使用する電気を風力でまかなっていて(全然知らなかった!)、日本のライブハウスではそういうところは他にないらしい。

TOSHI「秋に次のツアーが決まっています」
一同、喜ぶ。
TOSHI「海外だけど」
一同、驚きとちょっぴりがっかりな声。
誰かが「日本は?」って聞いたんだったかな。
TOSHI「JAPANは、まだよく分かりません。いろんな意味で」

えーとですね。私の考えすぎかもしれませんが、わざわざ「JAPAN」なんて言い方するのは、「T-EARTHの日本での次のライブについては、まだ分からない」という意味ではなく、「XJAPANのことは分かりません」って意味だったりするの? そういうわけじゃ、ないよね? また何か起こったかと心配になっちゃったじゃん。やだなぁ、もう。

ピアノの前に座って曲を始めようとするも、何か気になる様子のTOSHIくん。
TOSHI「あの、座って下さい。ここは座ってもいいことになってるので。それで椅子を用意しましたので」
一同、着席。

(続く)


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