月に舞う桜

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2008年08月15日(金) 日帰り名古屋だがや

母と日帰りで名古屋に行った。
年末の「1万人の第九」のチケットが取れれば大阪に1泊旅行するので、今回は予算を抑えて日帰りということになった。
なぜ名古屋かと言えば、交通の便や道路・建物のバリアフリーの面で私が都会の方が動きやすいことと、行ったことのない街で尚且つ日帰りが可能という理由からだ。

朝9時過ぎの新幹線のぞみで名古屋へ。
まず、名古屋駅から地下鉄を乗り継いで名古屋城へ向かった。名古屋は地下鉄が発達していて、複数の線がある。今回、移動はすべて地下鉄を使い、JRの在来線には一度も乗らなかった。
名城線の市役所駅で降りて、名古屋城までてくてく歩く。
御堀には水がなく、草がぼうぼうに生い茂っていた。途中、加藤清正の銅像があり、その前で写真を撮った。
名古屋城周辺は緑が多く、それほど暑さを感じなかった。が、敷地に入り、門をくぐって天守閣にたどり着くまでの長い道のりは大変だった。日差しを遮るものがないので、暑さ直撃、太陽の光が痛いのだ。
ちょうど夜に宵祭りが予定されているらしく、あちこちに屋台が並んで準備されていた。営業していない屋台は何だか寂しくて、そしてちょっと間抜けな感じもする。




↑上手く写っていないけれど、大天守閣の天辺には、言わずと知れた金のしゃちほこ。左側に写っているのは小天守閣。

大天守閣のすぐ外にエレベーターが設置されており、それを使って城内に入ることができる。お城の中にも1階から5階まではエレベーターがあるので、車椅子でも移動が可能だ。ただ、5階から上は階段しかないため、残念ながら展望台までは行けない。
歴史ある建造物を隅から隅までバリアフリー化することは、スペース的にもなかなか難しいのだろう。

城内には、戦国時代から江戸時代に使われていた武器や防具、家の模型や金のしゃちほこのレプリカなどが展示されていた。
それから、わざと照明を落として夜の城下町の雰囲気を味わえるようにした場所があったり、当時の食事を再現していたり。わりと品数豊富で尾頭付きもあったので、上級武士かお殿様用の献立だろうと思う。
1階から5階まで一通り見て、名古屋城を出た。それからまた地下鉄を乗り継いで、事前に昼食処として決めてあった鰻屋を目指す。
炎天下、とにかく暑い。首周りの開いた服を着ていたので、首の後ろがじりじり焼ける。

鰻専門店「なまずや」は、大通りから一歩奥に入った静かな場所にある。わりと有名なお店なのか、私たちが着いたのは昼食のピークを過ぎた2時前だったにもかかわらず、4組ほど並んでいた。
順番待ちの間、鰻を炭火で焼くにおいが漂ってきて空腹が加速する。
「るるぶ」とインターネットによれば小さな奥庭を眺めながら食事できるのが売りとのことだったけれど、通されたのは窓際ではなく、しかも窓に背を向ける形だったので、残念ながお庭を臨むことはできなかった。
名古屋に来たら、まずはこれ! ということで、私も母もひつまぶしを迷わず注文した。




↑左上:ひつまぶし  右上:出汁の入った急須  右下:肝吸

出てきたひつまぶしは、タレがたっぷりかかっていてご飯が真っ茶色、一見味が濃そうだった。でも、食べてみると全然しつこくない。
一杯目はそのまま、二杯目は薬味(ネギと海苔とわさび)をまぶして、そして最後に出汁をかけて食べた。
鰻も余計な油が程よく抜けているので、もたれない。鰻は好きだけど、普段は油が胃に来てあまり量を食べられない私。でも、このひつまぶしはがっつり頂いた。三杯目はそろそろ満腹になってくる頃だけど、出汁をかけると食べやすくてサラサラ行ける。
初めて食べた本場名古屋のひつまぶしは、思いのほかあっさりしていて美味だった。今回の旅行では味噌カツは食べなかったけれど、友人曰く、味噌カツもそんなにしつこくないらしい。名古屋料理は全般的に、見た目ほど濃い味ではないのかも。

お腹が満たされたところで、名古屋駅へ戻った。
名古屋駅周辺には、高層ビルが立ち並んでいる。どこも広くてきれいだ。
まず、ミッドランドスクエア(下階が商業フロア、上階がオフィスフロア、そして最上階がレストランという、いま流行りの大型複合ビル)にある、お箸専門店に入った。
そう広くはない店内に、長さも色も材質も様々なお箸がわんさか並んでいた。中には「洋食用」と書かれているものもあって、洋食にお箸を使うというのが新鮮に思えた。値段もピンキリで、リーズナブルなもので千円前後、高いものだと2、3万、果ては10万円近くするもの(確か銀製)まである。値が張るものはやっぱり柄も凝っていて、見て回るだけで楽しい。
私はお箸が使えなくて、フォークとスプーンで食事している。だから自分用にということにはならなかったけれど、友人へのお土産に、茶色地にラメの線が入ったお箸を買った。

そのあと、スイーツ目当てにお店を回ったのだけど、目星をつけていたお店はどこも段差や階段に阻まれて入れず。
一箇所なんて、とあるビルの最上階にあるんだけど、エレベーターのドアが開いて一歩出た瞬間、目の前が階段だった。わざわざエレベーターで最上階まで昇らせておいて、階段を上がらないと入れないって、いったいどんな設計よ!? 歴史ある名古屋城とは違うのよ? 現代ビルのくせに、ちょっとは考えて設計しろや。
とまあ、さすがにカチンと来たけれど、ひつまぶしが消化しきれておらず、どうしてもケーキを食べたいわけでもなかった。なので、苦笑いしながらもあっさり退散、歩いている途中で目に入ったカフェで休憩を取ったのだった。

冷たいジュースで疲れが癒えたら、次はお買い物タイム。
高島屋のデパ地下で、天むす、手羽先、海老煎餅、愛知県産のお茶を使った抹茶クッキーを買う。それからやはり高島屋で、父への土産に焼酎用のナントカ焼きのコップ。

で、夕食ですが。
名古屋は地下街が広い。それぞれ名前がついた幾つもの通りに、無数のお店がある。その中で、名古屋の名物料理をまとめて食べられるというお店に行く予定だった。
が、しかし。どこをどう探しても、地下街に下りるエレベーターが見つからない。近くに立っていた警備員に聞くと、「○○(←行きたい通りの名前)へは、エスカレーターしかないんですよ」と、いとも簡単に言われた。
何じゃそりゃ! 地下街が発達していると聞いたら、当然どこへでもエレベーターで行けると思うじゃないか。恐るべし、名古屋!
仕方ないので高島屋に戻り、横浜にも何店舗かあるご飯屋さんに入った。そこで食べたタンシチューはまあまあ美味しかったが、「横浜でいつでも行けるのに、何で名古屋まで来てこの店!?」と思わなくもない。

そんなこんなで、夜9時過ぎののぞみに乗り、無事に横浜へ帰りついたのであった。
ちなみに、デパ地下で買ったものはどれも満足の行く味だった。特に天むすは、コショウが程よく効いていて、海老もプリッとしていて大満足。小さめだから食べやすいんだけど、あっと言う間に食べ終えてしまって残念だった。手羽先は、美味しいけど食べにくいから、たぶんもう買わない。


桜井弓月 |TwitterFacebook


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