浴室の戸を開けると、ふわっと柚子の香りが漂っていた。冬至にはまだ少し早いけれど、湯舟には柚子が三つ。母が近所の人にもらったものを浮かべたらしい。心なしか軟らかくなったような気のするお湯で、肩や腕を撫でる。明日はお肌すべすべになっているかしら。お湯をかき混ぜたり柚子を転がしたりしていると、香りが増した。柑橘系の香りは、浴室中に立ち込めても邪魔にならずに心地良い。ゆったり身体を浸して深呼吸。アロマ効果もばっちりだ。柚子の香りに包まれて、心身ともに癒された。
© 2005 Sakurai Yuzuki