月に舞う桜
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うちのスーパーバイザーは、なぜか私のことを「お嬢様」と呼ぶ。 最初は「弓月ちゃん」だったのが「弓月ちゃま」になり、いつの間にか「お嬢様」になっていた。 もちろん私はお嬢様でもなんでもないし、お嬢様を気取った発言をしたわけでもない。なのに、なぜ。おかしいなぁ。 そのスーパーバイザーの影響で、同期男性の1人がときどき冗談めかして私を「お嬢様」と呼ぶ。私はそのたびに、「お嬢様って呼ばないで!」と釘をさす。 困ったものだ。 今日なんて、私宛の電話を取り次ぐときに「お嬢様、ご指名です」だと。わたしゃ、ホステスか風俗嬢か! いったい、どんな店やねん!
私を「お嬢様」とか「姫」と呼んでいいのは、プライベートで責任を持って私をお嬢様扱い、もしくは姫扱いしてくれる殿方に限られますことよ。 「お嬢様」なんて呼ばなくていいから、早くそんな殿方を紹介して下さいな。
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