月に舞う桜
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2007年04月19日(木) |
イップスと呼べるのか分からないけれど |
奥田英朗の『空中ブランコ』に収録されている「ホットコーナー」には、イップスという病気(もしくは症状?)が出てくる。 ゴルフ選手に多い症状らしく、それまでごく普通にできていたパターがある日突然まったく入らなくなる、というようなものだそうだ。他にも、ピアニストがピアノをうまく弾けなくなったり、優秀な野球選手が盗塁や送球をことごとく失敗するようになるなどの例がある。 つまり、それまで何の問題もなくできていたこと、しかも、その人が本来は得意としていることが、突然できなくなるのだ。これは、極度の緊張によって、体が意識通り動かなくなるためらしい。
私の場合はイップスと言えるかどうか分からないけれど、実は最近、似たようなことがある。 「お待たせいたしました」とか「○○センター、桜井でございます」とか、基本的な言葉を突然うまく言えなくなるのだ。それこそ、さっきのコールまでは全く問題なくスムーズに言えていたのに、突然。 そういう基本的な言葉でろれつが回らない経験をすると、「ちゃんと丁寧に言わなくちゃ」という思いが強くなって、次からはもっと緊張してしまう。で、意識しすぎて余計にどもったり噛んだりする羽目になる。そうやって、ドツボにはまっていく。 たぶん、意識するのがいけないんだろう。忙しくて考える間もなく電話を取るときや、ちょっと油断しているところに電話が鳴って慌てて出たときなんかは、却って言葉がすらすら出てくるのだ。
意識しなければ、物事はうまくならない。でも、意識しすぎるとできなくなる。 人間って、本当に厄介な生き物だ。
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