月に舞う桜

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2005年11月27日(日) 心の余裕が、目に映る世界を変える

筆記試験当日。
試験前、お昼ご飯を食べながら携帯でYOSHIKI mobile(YOSHIKIの公式サイト)をチェックした。
気合を入れたかったのか緊張をほぐしたかったのかはよく分からない。
ただ、無性にYOSHIKIのメッセージを読みたかった。「今どうしても読まなくちゃ!」とまで思ったのだ。
ほんの束の間、試験のことは忘れて、極限の状態でものを生み出すってどういうことなのだろうかと考えた。
極限の果てには、きっと特別な景色が広がっているのだろう。
YOSHIKIなら、そこに辿り着くことができるのだろうな。
私はまだ、そこまで到達していない。ミニチュア版なら見たことはあるけど。
私もいつか、そこに辿り着けるだろうか。私も、極限の果ての景色を見てみたい。
そんなことを思って何となく遠くを眺めたあと、「私も一発戦ってくるか!」と気合を入れて、携帯を閉じた。

日曜日のみなとみらいは、カップルや家族連れでかなり賑わっていた。
こんなにいい天気で、みんな楽しそうなのに、なんで私はこれから試験なんだ! と心の中でわけの分からない悪態をつきながら会場へ向う。
しかし心というのは不思議なもので、試験が終わって精神的に解放されると、そんな荒んだ気持ちはどこへやら。
試験会場から最寄り駅までの帰り道では、周りのふんわりとした幸福な空気を素直に認められる自分がいた。
多くのカップルや家族連れとすれ違いながら、「休日を大切な人と過ごせることや、そういう人と先を急ぐことのない足取りで歩けることは、何と幸せなことだろうか」と思った。
そういう日常的な幸せをきちんと自分のものにできる人は、本当にいい顔をしている。
ランドマークプラザでは、ケイタクがライブの準備をしていて、まだリハーサルだと言うのに人がたくさん集まっていた。
気にも留めずに通り過ぎる人や、ちょっと足を止める人、ギターの音に耳を傾けながら本番を待つ人、皆それぞれ勝手に自分の時間を過ごしているのだけど、「あぁ、ここは何だかそういう自由な場所なんだなぁ」と思えるような一つのまとまった空気があった。
きっと、そこにいる人たちが少しずつ幸せな雰囲気を発しているからだろう。だから、何となく温かいんだ。
みなとみらいは、すっかりクリスマス仕様になっていた。たぶんそれも、ほんわかな空気の原因の一つ。

行きと帰りでは周囲に対する気持ちが全く違うことに、自分でも驚いた。
自分の心持ちしだいで、世界はこんなにも色を変える。


桜井弓月 |TwitterFacebook


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