月に舞う桜

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2005年11月09日(水) 何だか年月を感じた話

ずいぶん前に好きだったアーティストのライブを衛星放送で見た。
変わってしまったのは私なのかその人なのかは分からないけれど、あの頃の印象と比べて「あれ?」という感じ。
キャリアを積むと、葛藤や迷いが生じる。
そこを越えた人間の悪い部分…傲慢さですらなく、「私もできたから、あなたも大丈夫、ここに来れるよ」という、本当は上から見ているのに同列だと思っていることを強調した物の言い方に、ちょっとがっかりだった。
それならいっそ、「私はあなたたちとは違うんだ」とおごった方が余程潔い。

何かの証人になるのは難しい。
勝者でなければサクセスストーリーの証人にはなれないけれど、勝者になった瞬間、その人が「私だってここまで来れたのだから」と言っても何の意味もなくなってしまう。
勝者が勝者である以上、「私『だって』」とは言えないはずだから。

私が何となく嫌な感じを受けたのは、その人の頭の中で幸せや成功の形というものが枠にはまっていると感じたからだろう。
「あなたも幸せになれるよ」と言うのは、他人の今の幸せを無視することだ。


桜井弓月 |TwitterFacebook


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