永遠の半神...楢原笙子

 

 

赦し#1 - 2005年08月17日(水)

いつも淋しかった。

一緒に住んでいた彼が出て行ってから、
何度か死にたいと思った。
同じ部屋にわたしはいて、彼が置いてった歯ブラシや
好きだったCDなんかを見つけるたびに、
残されたことが堪らなくて。

鬱だったのよね・・・。
自分では気付かなかったけど、離れて住んでいた親が
病院に連れて行った。
今でも薬は飲んでる。
死ぬんじゃないかってまだ心配してる、たぶん。

なんでこうなったんだろう。
わたしがワガママだったのかもしれない。

そう言ったとき、ふいにくちびるを重ねられた。

バイト先にいた社員のひとりだった。
特にいい男でもなかったけど、スーツ姿は清潔な感じがして、
誘われて飲みに行った。
だんだん、今だけでもいいからって思って、
独りの部屋に帰りたくなくて。


我儘でいいんだよ。


そう言って彼は、もう一度くちびるを重ねてきた。
わたしの言葉を探るように舌を差し入れて、
柔らかく次第に強くなるその動きに、
いつしかわたしも彼の舌を求めていた。
もうそれだけで、全部が溶けてしまいそうだった。








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