マロニエの並木に
2001年08月29日(水)
まだ夏期講習に追われていたあの日。
ふいと立ち寄った代々木のコーヒーショップ。
そこに、友人からの電話。
「ん、今代々木のDトール」
「だめだよ、Dトールのミルクレープで満足してちゃ!」
「へっ?」
確かにミルクレープを食べていたところだったが。
いやあの、私何も言ってないんですが。
「銀座にね!いい店があるんだってば!」
「ほぉ」
「今度行こーね」
そんなわけで交わされた約束。
実は二日前も結局行けなかったので、今日ようやく実現。
別件の延長として出かけたため、
先日のように服装を気にすることもなかった。
「んじゃ、ブレンドとミルクレープ」
「ダージリンとミルクレープを」 <この友人はコーヒー苦手
頼んでからふと気が付いた。
この店の名前、どこかで見覚えがある…
「あぁっ!?」
「どしたの?」
「この店って!」
横浜の隠れた名店、とどこかのサイトで紹介されていた喫茶店。
いつか一度は行ってみたいと思ってた。
そこには“同系列の店があるらしい”と書かれていたのだが…
「名前同じやん!ここじゃんよ!」
「ほんとに!?」
思わぬ出会い。その興奮した口調は、
落ち着いた店内にはちょっとふさわしくなかったかもしれない。
苦いが後味はさっぱりしたブレンド。
広がる香りが心地よいダージリン。
そして、口の中でとろけるような、それでいて甘さ控えめのミルクレープ。
ここのところ何かとどたばたしていた自分にはもってこいの店だった。
少し談笑してから店を出ると、
湿った風がほのかに秋を香らせていた。
空を見上げ、雲の切れ目に覗く青を眺めた。
「おまたせー。行こー」
「あ、うん」
そうしてマロニエの並木を歩いた。
私の夏は、こんなふうに静かに終わりを告げるらしい。
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