リビングのドア。 蝶番が壊れていて、しっかり閉められないので、本立てが脇に置いてある。 閉める時は、その本立てをドアにぴったりつけて、開いてしまうのを防いでいる。
何気に本(雑誌)を手に取った。 それは5年以上前、確かにアタシが買った雑誌たち。 『すてきレシピ』 栗原はるみの、オシャンティーな生活雑誌。 付箋も一杯貼ってあって。 ああ、アタシもかつてはこんな生活を望んでいたのだなあ、と。 部屋をお洒落に飾り、気の利いた食事を提供し、気持ちの良い空間を作る。 うん。 確かに。 そんな風に思っていた頃もあったんだよなー。
いろいろな理由があって。 5年間家族と離れてすももと、ひとりと一匹の暮らし。 まあ、途中4年間は末っ子のおさるくんも同居していたのだけれど。 いびつな家族の形だけれど。 そういう経験があって、それはとてもよかったと思っている。 おさるくんは近いうちにこの家をでて、ひとり暮らしの予定だけれど。 アタシはいつも一直線で。 ぶつかって初めて間違いとわかる。 ぶつからなければわからない。 家族もそれをよく理解してくれていて。 これからもひとり、突っ走って行くんだな。
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