一年前の今頃。
みるくは、泣いていました。
暗闇の中、離れてゆく和弘の後姿を見つめながら、
ただ、泣いていました。
頭上では扇風機が、ただひたすら速度を変えずに回っていた。
みるくはただ、ひたすらもがくことしか出来なかった。
出口は見えなかった。
もがけばもがくほど、糸は複雑に絡まってゆき、今にも切れそうな音をあげる。
歩いても歩いても前に進めず、
みるくと和弘の立つ場所に光は射さなかった・・・・。
どうしようもなかったのかな。
みるくは和弘が大好きだった。
だけど、もう、その気持ちが届くところに和弘はいなかったの。
もっと愛していることを伝えれば良かった。
もっと和弘との時間を大事にすれば良かった。
もっと和弘の為に努力をすれば良かった。
抱きしめたまま、手を離さなければ良かった・・・・。
前へ進もうとするのに、
みるくの心は過去に縛られたまま、
忘れようとするのに、
みるくの心は忘れることを拒否したまま。
ずっと、ずっと。
ねぇみるく。
もう増えることはないと思ってたぬいぐるみが、
また新しく増えたよ。
もう一緒に写ることはないと思ってた写真が、
みるくのカメラの中に収められてるよ。
もう一緒に歩くことはないと思ってた道を、
また歩いてるよ。
一年前のみるく。
聞こえる?
それでも
きっと傷が消えることはない。
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