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B-SIDE DISC7 
杏子



 因果

仮に 実際に起こった

事実のみを列挙 するとして。




4日 理事長の実母である方が 死去され

5日 通夜

6日 葬儀



4日 あの部屋で 

私の傍らに座る理事長の携帯が鳴り


電話は その容態の急変を告げるものでした。



万が一のことを考え


その日 私たちの所属長の自宅で行われる予定だった

勤務先の新年会をキャンセルし


とりあえず、詳細の一報を入れるから

それを待つように。



…すまんなぁ



とだけ 理事長は私に告げ

その電話から5分と経たずに 部屋を飛び出す。



10分後



間に合わなかったよ。



最初 電話口

理事長の言う 言葉の意味が分からなくて



誰も 看取れなかった。

独りで逝ったって。




続く言葉に 返す言葉が見つからない。




その日 事務局長は 不在。


関係各所への この訃報の通達は

私がするしかない。


非情にも 私の初めて着手する、その事務手続きの手順を

手違いなく済ますことだけを 


その時の私は 繰り返し頭の中で確認していました。





怖かったのは 



おそらく

通夜 葬儀ともに

受付として その場に居合わせるだろう


そのときの 私の心境。









ひとりの部下として

いち事務局員として


その場に存在することが 今の私に出来るのか。





現実として その空間のなかで私は

理事長の奥様と 幾らかの言葉を交わし


互い頭を下げ

積日の感謝の意を 述べ合いました。



何の因果か その中で 


奥様は、今後入用になるはずの

何枚かの不祝儀袋への浄書を 私に依頼されるのです。





別室で 私より6つばかり年上の

理事長の末の娘さんが淹れてくださったお茶を飲み




東京から 急遽戻られたと言う

ご長男に 深々と頭を下げられ




私と事務局長は 会場を後にしました。











2009年01月06日(火)
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