2011年01月20日(木) |
■「100円、くれない?」の路上生活者のおばさん |
ずっと以前に、 路上生活者のおばさんのことについて書きました。
このおばさんを初めて見かけたのは、2005年、 それから、何度か会い、話をしたりして、 このおばさんのことをほんの少しだけ、 知ることができました。 (過去のお話は↓ 「100円、くれない?おばさん」)
しかし、2006年頃から、 ぱったりと姿が見えなくなり、 出合うこともなくなり、 「どうしているかな、元気かな」と、 ずっと気になっていたのでした。 昨年の熱い夏は、どうしているのかな、 なんて時々心配してもいました。
そうしたら、先日、 そのおばさんとまた出合えたのです。 おばさんは、元気そうでした。 そして、ちっとも変わっていませんでした。 今日は、そのおばさんとのお話です。
先日、いつもより早い時間に ウォーキングすることにして、 この日は、風もなく、穏やかな日だったので、 久しぶりに青山方面に向うことにした。 そして、おばさんを見つけたのだ。
「あっ! 100円、くれないおばさんだっ! ああ、元気だったんだね〜 よかった、よかった」
おばさんは、 日差しのよくあたるベンチに ちょこんと座っていた。 隣には、傘と大きな荷物を置いて。 この日は、厚手のロングコートを着込み、 マフラーもしていた。
おばさんが、私を覚えているかどうかは まったくわからないけれど、 側に行き、こう声をかけた。
「おばさん、こんにちは。 久しぶりだね〜 元気だった?」
すると、おばさんは、 いきなりこう言った。
「ね、100円、持ってない? 私ね、一銭も持ってないの。 ね、100円、ない? 持ってたら、100円くれない?」
おばさんは、出合ったときと まったく同じようにこう言った。 おばさんは、まったく変わっていなかった。 相変わらず、誰かに、100円をもらって、 暮らしているらしかった。
おばさんは、私の問いかけに、 返事をするより、100円が 大事そうだったので、 先に100円を渡した。
すると、おばさんは、 黒ずんだ手で、その100円を受け取り、 そして、また、いつもの通りに こう言うのだった。
「ね、もう100円ない? 私ね、全然持ってないの。 ね、もう100円ない?」
そこで、私も、 以前と同じようにこう答え、 また、同じように質問した。
「今、渡したから、 全然じゃないよね。 今日はもう終わり。 でも、元気そうでよかったわ。 この頃急に寒くなったから、 寒いでしょう? どこか寒さをしのげるところで 寝ているの?」
すると、おばさんは、 私を見て、こう答えた。
「寒いよ。今はね」 「どこか、部屋みたいのはあるの?」 「ないよ」
「段ボールのおうちみたいのは、 つくっているの?」 「ううん、そんなのはないよ」
「じゃ、どこか外で寝るの?」 「うん、でも、風は大丈夫だよ」 「そう、風は防げているのね、 でも、底冷えするから寒いね」 「うん、寒いよ、毎日。 でも、冬だから」
おばさんは、あまりしゃべらない。 だから、おばさんの状況はよくわからなかったけど、 顔色も悪くないし、いつも通りだし、 とても元気そうに見えた。
この日は、この後用事があったので、 おばさんとは、これで別れた。 そして、この後、またまた、
「そうだ、おばさんに、 リンゴ持っていこう。 以前は渡せなかったしね」
と思い立ち、リンゴを持って行ってみることにした。 以前は、おばさんを見つけられず、 リンゴを渡せなかったけれど、 天気がよく、早い時間なら会えそうだった。 ひなたぼっこしてそうだから。
そこで、袋にリンゴとホカロンを入れて、 準備をし、いそいそと向った。
この続きは明日書きますね。
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