まゆのウォーキング、ぼちぼち日記

2008年03月16日(日) 感動の犬のお話 《ペッパーの代わり》

前回、「ひさしぶりに…個性的な犬さんたち紹介」を
書いたら、思いもかけず、友人からメールが届いた。


「わが家にいた犬、クッキー、覚えている?
 先日、病気で死んじゃったんだ。
 だから、今日の記事のミニチュアダックスフンドを
 見たとき、思い出して泣けちゃった…
 よく買い物に連れていっていたから、こんなふうに、
 待っていたのかなぁ…と思ったらね。
 しばらくは、ダメだね…
 12年もいっしょにいてくれたから…」



というメールだった。
クッキーは、ガンで、気づいたときには
遅く、そのことも友人は気にしていた。

私は、この友人に対して何も言えることばが
なかったので、こんな犬のお話を紹介したいと思う。
たまたま、動物の話を読み返していて、
ピッタリな話を見つけたので。



今日のお話は、
「こころのチキンスープ〈11〉 動物たちの贈りもの」
からの紹介です。



今日紹介するお話の他、34編の話が載っています。
この本には、動物たちのと愛情あふれた話がいっぱいで、
とくに、動物好きな方には、本当におすすめです。


こころがあたたかくなること
間違いなしの一冊です。
ぜひ、一度、読んでみてください。









《ペッパーの代わり》
(太文字は、こちらでしました)


私たちは、夫婦で小さなペットショップを経営している。
その朝、店を開けようと入り口の鍵を回していると、
電話のベルがしつこく鳴った。
早朝の電話は珍しくなかったが、今日の電話の主は一風変わっていた。
その声には、いらだちと悲しみが感じられた。
質問があるというよりは、話を聞いてもらいたがっているようだった。


「じつは、妻と二人きりで朝食を
 すませたところなんですが、今までは、
 ペッパーという名のシュナウザー犬がいてね…」
この16年間、ペッパーが毎朝一緒に朝食の席につき、
彼らのコーヒーを飲み、朝刊を読んできたことを知った。

 (略)

ペッパーは、末っ子が独立したときからずっと一緒で、
妻の病気のときも側にいてくれたが、重い関節炎にかかり、
痛みに悩まされるようになり、この苦しみを見ているのが、
耐えられなく、安楽死の道を選んだのだ。



                (ここから再び引用)

老紳士は声を詰まらせた。



「ペッパーは最高の犬でした。
 今日初めて、
 私たちは、夫婦二人きりに
 なったのですが、つらくてね…」




彼らは、新しい犬は欲しくないという。
ペッパーの代わりになる犬などいるわけはないから。
ただちょっと知りたくて電話してだけだと。


「おたくでは、
 シュナウザー犬の子犬を置いていますか?
 白黒の子犬の雄です」



私は、「ええ」と答えた。
ちょうど、白黒のシュナウザー犬の子犬が2匹手元にいた。


「本当ですか?」その老いた声には、
信じがたいという響きがあった。

「もちろん、その子犬がペッパーの代わりに
 なるわけはないし、そんなことは第一ありえない。
 どっちみち、ルースは今朝約束があるから、
 そちらへは出向けませんし」



それではと言って、私たちはそこで電話を切った。



店を開けてしばらくすると、私たちはお客の相手や
動物たちの世話で忙しくなった。
11時頃、店の入り口に二人の老紳士が現れたときも、
私たちはまだあわただしく動き回っていた。
しかし、そのうちのひとりを見た瞬間、私にはピンときた。
シワを刻んだ悲しげな顔は、今朝の電話の主に違いなかった。
彼は自分の名を名乗った。


「私はビルです。妻のルースは約束があるので、
 来られませんでしたけど」
隣人とドライブしようとでかけたところ、
「たまたまこっち方面を通ったんでね」
と説明した。




そして、せっかくだから
シュナウザー犬をちょっとだけ
見せてもらえないかいう。




私は2匹のシュナウザー犬を連れてきた。
子犬たちは尻尾を振り、丸々とした体を
揺すりながら追いかけっこをし、
私たちの足の上でころげまわった。



ビルの隣人が大きな声で、
「ビル、どっちか一匹だけ選ぶなんてできないよ」
と言って2匹を一緒に抱き上げると、子犬たちは最高の
「ぼくをおうちに連れていって」の顔を作って見せた。
彼は2匹を床に降ろし、それから、みんなで子犬たちの
おどけたしぐさをしばらく眺めた。

ビルは、どちらの子犬を抱くのもためらっていたが、
自分の足の上に乗っかって、
満足そうに靴ひもを噛んでいるほうにとうとう降参した。
初めてわが子を抱き上げる若い父親のように、彼はその子犬を
そうっと、不思議そうに抱き上げ、胸に引き寄せた。


「いいかい」と彼は子犬に説明し始めた。
「お前さんをうちに連れて行くわけにはいかないんだよ。
 ルースに追い出されるに決まっているからね」




ところが、いったん子犬を
両腕に抱えると、
もう下に下ろすことが
できなくなった。




私たちは、天気の話をし、彼の子どもの話をし、
私たちの子どもの話をし、そして、
こうした儀礼的な会話の常で、ついに話題が尽きた。
話すことがなくなった以上、もう避けられない瞬間を
引き延ばすことはできなくなった。
ビルは、子犬たちをじっと見つめて言った。


「ルースは怒るに決まっている。
 ルースは怒るに決まっている…」



私たちは、ビルが2匹の子犬を見比べるのをじっと待った。
ついに、首を振り振り、いたずらっぽく笑って彼は言った。



この続きは、また明日書きますね。
楽しみにしてくださいね。
あたたかい気持になれますよ、きっと。






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