2008年03月04日(火) |
意外なところで見つけた「春」 |
毎日ウォーキングをしていると、 いろいろなお宅とも遭遇するが、 雰囲気が変わったお宅、アンバランスなお宅、 そして、飾り立てているお宅、などは、 かなり興味を引かれ、見つけるとわくわくする。 今日は、そんなわくわくしたお宅紹介だ。
といってもちょっと意外な 展開になったのだけどね。
先日、違う街の住宅街を、 元気にウォーキングしていたら、 偶然こんなお宅をみつけた。
それは、こんな感じで見えてきた。 青い屋根がとても印象的だった。
「立派なお宅だね、ちょっと ホテルみたいな感じだね」
なんて思い、何気なく通り過ぎようとすると… こんなものがチラリとみえた。
「おやっ?なんだか、 にぎやかだぞ…」
これは見逃せなかった。 そう、このお宅は、私が興味をそそられる、 「飾り立てるのが好きなお宅」だったのだ。 大急ぎで、近寄ってみると、 こんな感じだった。
メルヘンチックなものたちが、 通りの方を向いて、置かれていた。 私は、まじまじと見つめながら、
「このお宅の奥さんは、きっと、 メルヘンが好きなんだね〜」
なんて、勝手に思っていると、 この右の方にある蛇口のところで、 (写真では見えないが) 1人のおじいちゃんが作業している姿が見えた。 私は、写真を撮る許可をもらいたかったので、 声をかけた。
「こんにちは」
しかし、おじいちゃんは振り向かない。 私は、もう一度「こんにちは」と 今度は少し大きな声で言った。
すると、今度は、振り向いてくれて、 私を見て、にっこりとした。 ああ、よかった、怒っているのではないようだ、 と胸をなで下ろし、今度は、こう言った。
「かわいいものたち、 いっぱい置いてますね。 写真撮ってもいいですか?」
すると、このおじいちゃんは、 こう言ったのだ。
「今日は、 あたたかくていいねぇ〜」
??と思ったが、
「ええ、そうですね。 あたたかいですね。 写真撮ってもいいですか?」
と、再度言った。 すると、おじいちゃんは、手で、 耳が聞こえない、というそぶりをした。 このおじいちゃんは、耳が遠いのだった。
そっか、聞こえないのか… と、思い、 今度はもっと大きな声で こう聞いた。
「この置物は、 集めたんですかっ?」
すると、今度は、 おじいちゃん、こう答えた。
「ペンキをぬらなきゃと思っているんだよ。 色がはげているだろう」
全然かみ合ってなかった。 やっぱり聞こえてないようだ。
しかし、ここはおじいちゃんの言っていることに 答えねばと思い、私は大きくうなずいた。 おじいちゃんは、私のうなずきを見ると、 さらに、こう教えてくれた。
「もう、大分たつんだよ。 10年以上のもあるからね。 でも、いろいろあると、 なんだか楽しいだろう?」
私は再び大きくうなずいた。 つまり、私としてできることは、 このおじいちゃんが言ったことに うなずくことだけだとわかった。
で、おじいちゃんが 次に何を言うかしばし待った。 すると、今度は、こう言った。
「春だねぇ… やっぱりあったかいといいやね…」
私はまた、大きくうなずいた。 うん、確かに、春はあたたかいからいいね。 そして、このおじいちゃんと話すことを諦めて、 おじいちゃんの方を見て、 手に持っていたカメラを指さした。
すると、おじいちゃんは、こくんとうなずき、 (たぶん、写真を撮ってもいいよという許可だと思い) 私は、写真を撮ることができた。
写真を撮り終わったので、今度は、 大きく口をあけて、口の動きがわかるように
「ありがとうございました」
と、答えた。 これで伝わるといいなぁと思いながら。
すると、おじいちゃんも、 うなずき、 再び、こう言ったのだ。
「春はいいねぇ…」
そう… このおじいちゃんにとって、 春はとてもいいのだ。 それが、なによりなのだ。
私も再び大きくうなずいた。 私の気持が伝わったかどうか、 さっぱりわからなかったが、 頭をさげて、この場を去ることにした。 おじいちゃんもニコニコと笑いながら、 家の中に入っていった。
こんなことで、この置物たちについては、 10年以上のものもある、ということしか わからなかったが、それで満足だった。 そして、しみじみ思った…
「春だね…」
みなさまのところに春は来たでしょうか? 私は、この日に実感しました。
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