2006年11月01日(水) |
ここはどこだ?新宿です。 |
今日の主役はこの像である。
どうですか、この像は?
少年は、作業着のようなものを来て、 少女は、ネクタイ付きのワンピースを着ている。 どう見ても、働く少年と、 国に忠誠を誓っている少女って感じである。 まるで、どこかの国の銅像のようである。 しかも…どう見てもいつの時代のものかと 思いたくなるような銅像である。
この像が、 どこに建っているかというと…
なんと、新宿の街である。 新宿伊勢丹から少し離れた所である。
たぶん、気がつかないと、 全く気がつかないと思うが(当然だが) 大きな交差点の角の、わりといい場所に 地味ながら、ちゃんと存在しているのである。 回りに木があるので、暗い感じだが…
見る人はほとんどいないが、この前で、 タバコを吸っている人は時々いる。
最初に見たとき、 「なんだ、これはっ、こんなところに…」 と、ものすごい違和感を感じた。 しかし、何度もこの道を通り、 ほぅ…今日もいるね、などと、見ているうちに、 親和感を覚えるようになってきた…
あ、いえ、うそです。 いつも、いつも、見るたびいつも、 正しく違和感を感じてました。
で、この銅像が何かというと、 プレートによると、こうである。
「交通安全の誓い」という 立派な像なのである。
しかも、今年この像が建ててから、 ちょうど10年になるらしい。 そんなわけで、この像を磨いている人がいて、 それを見たら、どうしても 気になって…
そう…いつものように、 この像を建てたと思われる「四谷交通安全協会」に 電話して、聞いてみることにしたのだ。
「新宿にある像について聞きたいのですが…」 「ああ、交通安全の誓いの像のことですか?」 「はい、あれは、どういうものなんですか?」
そう聞き出すと、 電話に出たとても感じのよい担当の女性が、 丁寧に教えてくれたのだ。 この像にまつわるすべてを…
そして、なんと、この像の 驚くべき苦労話が聞けたのである。
苦労話の前に、まずは基本的なことを 聞いたので、その話から。
「この像は、どなたが造ったのですか?」 「有名な方じゃなくて、埼玉県にお住まいの普通の 美術家さんです。丁寧に造ってくれたんですよ」
なるほど…丁寧に造ってくれたらしい。 普通の美術家さんがね。
次に、こう聞いてみた。
「この像は、どんな意味があるんですか? 何だか、働く少年少女って感じですけど…」 「いえいえ、この像は、働く人のためじゃなくて、 交通安全協会ができてから、50年の間に 交通事故で死亡した方々を弔うものなんですよ。 だから、子どもと、ハトをモチーフにしたんです。 平和の街になることを願って…」
「え、ハトですか?」 「ええ、ハトがいますよ」 「あっ、あれは、花じゃないんですね」 「ええ、ハトです、よく見てください」
そう言われて、写真をよく見てみたら、 確かにハトだった。 少年がハトを操っているのだ。 (私にどう見てもそう見える。 また、一番上の写真では、少女の手にもハトがいる)
「ホントだ、ハトだ…花かと思ってました」 「平和のハトです。宮司さんにもちゃんと、 平和をお祈りしてもらったんです」
うかつであった… 平和のハトだった。 やっぱり平和にはハトですね。
この像は、交通事故で亡くなった方々を 弔う意味と、平和の意味があったのだ。
どこかの国のような服装のようだ… などという小さなことは問題ではないのだ。 何だか、顔がふけてる…などという そんな些細なことも問題ではないのだ。 ハトが手品みたいだ… なんてことを言ってはいけないのだ。 大事なことは「弔いと平和」である。
深いね、この像。
「今年の11月でちょうどこの像が建ってから、 10周年で、四谷交通安全協会ができてから 60周年なんです。 それで、今年はちょっとした式典も 予定しているんですよ。」 「どんな式典をするんですか?」 「そんな大げさなものではないですけどね」
というわけで、今年は式典もあるのだ。
そんな式典の話をしていたら、 担当女性が、いきなりこう言い出した。
「この像には…とっても苦労しましてね。 この像を建てた時に協会会長をしていた方は もう亡くなっているのですが、それはそれは、 苦労したのです…」 「えっ、何かあったのですか?」 「ええ、あったんですよ…」
というわけで、この後、私は、 この像を建てるための苦労話を 聞くことができたのである。
この続きは、また明日書きますね。
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