2006年07月24日(月) |
四谷、お岩さんゆかりの神社の謎 |
わが家から、四谷までは歩いて 20分ほどの距離である。 そして、先日、その四谷方面に ウォーキングに行くことを決めた。 四谷方面には、迎賓館もあるし、気持ちいいし。
そう決めてから、 そうだ、そうだ!
夏だし… 夏といえば怪談… 怪談といえば、四谷怪談、 四谷怪談といえばお岩さん。 お岩さんといえば、そうそう、 四谷にゆかりの神社があるはず… と思いだし、 この神社に行ってみることした。
(この神社がある場所に行くのに近い駅は、 四谷ではなくて、JR信濃町か、地下鉄四谷3丁目です)
そう決めて、いつものように、万歩計を装着し、 タオル、傘などをリュックに入れ込み、 それを背負って出かけることにした。
しかし、実は、 私はこの神社に行くのは初めてである。 一応、ネットで場所を確認して、だいたいの 予測をつけて元気に出かけることにした。
てくてく
確か、四谷警察所の裏側あたりだったと思い、 適当に小道にはいってみる。 ふんふん、このあたりに違いない。 しかし、見あたらない。
あれっ、違う道かな… などとぐるぐると回っていたら、 赤い旗が見えた。
あっ、あった、あった。 あれに違いない。
おおっ、あれだあれだ! 私は大急ぎで向かう。
しかし…
あれっ?
派手な赤い旗が、2カ所に立ってるぞ。 確か、一つなはずだが…
こんなふうに、道をはさんで 赤い旗が立っている。
近づいてみると、両方に 於岩さんの文字が見える。
手前の赤旗が、「於岩稲荷田宮神社」 奥の赤旗が「於岩稲荷霊神・陽運寺」
うーん、どっちがどうなのだろう。 正しい名前まで確認して来なかったが、 2つあるとは知らなかった。
まっ、とりあえず、両方拝んで行こう… 私は、両方に入ることにした。 しかし、於岩さんと言うと、 ちょっと怖い感じがあるので、 どきどきしてしまった。 ちゃんと、手を合わせないとね…
まず、最初に 「於岩稲荷田宮神社」に入る。
とても小さな神社で、ちょっと暗い感じがする。 ありゃ、ちょっと怖いかも。 おそるおそる神前に近づき、 お賽銭箱の回りをみると、印刷物が置いてある。 そこには、「ご自由にお取りください」ということで、 7月の生命の言葉とか、 神職が書かれたらしい手書きの短冊などが置かれていた。
そして、もう一つ、この「於岩稲荷田宮神社」の 由来を書いた印刷物もあった。 私はそれを手に取って、読んでみた。
すると…
こんなことが書かれていた。
「於岩さんは、お岩さんという江戸時代の初期、 江戸の四谷左門町(この場所付近)でけなげな 一生を送った女性のことである。 その女性の美徳をまつっているのがこの神社である。 ところが、その「お岩さん」の死後、200年たって から、図らずも芝居の主人公になった。 「四谷怪談」である。」
詳しく、説明すると… 実はこのお岩さんは、健気な女性でこのお岩さんの労力の おかげで田宮家は復興し、これをみんなが奉るようになった。 そして、その頃、お岩さん人気はとてもあったという。
この人気のあるお岩さんを、200年後、歌舞伎作者の 鶴屋南北が、お岩という名前を使って歌舞伎にすれば 大当たりに違いないということで、台本を書いたらしい。 それが、一人歩きするようになり、 本当のお岩さんの姿とはかけ離れた物語になったというのだ。 つまり、作り話がお岩さん像を怖いイメージに してしまったらしいのだ。
だから、本当のこの神社の御利益は、 「家内安全、無病息災、開運、悪事や災害よけ」 であるそうだ。
おおっ、そうだったのか… 初めて知ったぞ…と 自分の無知を知る。 本当は、お岩さんは、 妻の鏡だったのだ。
それを知って、ちょっとホッとして、 鈴を鳴らし、お賽銭を上げて手を合わせる。 もちろんていねいにね。
そして、この小さな神社の回りをぐるりと回ってみる。 手水で、手を清めたり… (本当に拝む前にやるのが正しいが、気が付かなかった) よく手入れが行き届いてすがすがしい感じがした。 最初はちょっと怖いと思ったけど、 この話を読んで、いきなり印象が変わる。
そして、 ふと神前の方を見ると…
何と、お賽銭のところに、 一人の白髪の老婆が立っていた。
私は一瞬どきっとした。 お岩さんかと思ったよ… どきどき
よく見ると、この神社にいるおばあちゃんらしかった。 腰を曲げて、お賽銭箱でも見ているかのようだった。 私は、「こんにちは」と挨拶した。 しかし、おばあちゃんは知らんぷりして、 奥に引っ込み、奥にあったイスに座った。
私は、どうしようかと思ったが、 イスに座ったおばあちゃんの近くに行き、 もう一度おそるおそる声をかけてみた。
「こんにちは」 すると、おばあちゃんは、 「あのね、私、よく耳が聞こえないの。 大きな声で言って」
おおっ、しゃべったぞ… そっか、よく聞こえなかったのね。 知らんぷりした訳じゃなくて、 耳が聞こえなかったのだ。
私は、おばあちゃんの近くにより、 お向かいにある「於岩稲荷霊神・陽運寺」 について、聞いてみた。
「お岩さんは、お向かいにも奉られているんですか?」 「えっ、何?聞こえない」 どうやら、普通の声ではダメらしい。 私は思いきり大きな声で、 「お岩さんは、お向かいにも奉られているんですかっ?」
すると、おばあちゃんは、 なんと、大きな声で、 こう言ったのだ。
「あっちは、インチキなんだよっ」
私は、かなり驚いてしまった。 インチキ…興味深い。 そこで、私も大きな声でこう聞き返した。
「えっ、インチキ?」 「うん、あっちはお寺なの。 坊主がやってるけど、全然関係ないの。本当は」 「あっ、お岩さんと関係ないのっ?」 「うん、でも、向こうは向こうが本物だと 言ってるらしいけどね…でもね、ニセモノだよ」
などと言うのである。 お向かいにある「於岩稲荷霊神・陽運寺」は インチキでニセモノだと言うのである。
しかし、このおばあちゃんにこれ以上聞くのは、 ちょっと勇気がいる。 とても大きな声で聞かないといけないし、 大きな声で答えられるので、 お向かいの「於岩稲荷霊神・陽運寺」に 聞こえるかもしれないからだ。
そこで、私は、このおばあちゃんに これ以上聞くことを諦めた。そして、 「教えてくれてありがとうございます」 とお礼を言って、田宮神社を出た。
後で、この印刷物に書いてある電話番号に 電話をしてもっと詳しく聞いてみようと思ったのだ。
この続きは、明日書きますが、 ものすごく意外な話を聞くことができました。 それに、驚くことも…
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