今日は全くのオフ日だったので、
親しい友人と新宿でランチをすることに。
ランチをしていると、後輩から電話。
「今、近所で仕事してるんですが、
　２時間後会えますか？」
もちろん、会えるので、ＯＫ！
うーん、今日はツイてると思っていた。

後輩と待ち合わせして、お茶をすることに。
「こんな状況なんですが、どう思います？」
などと、後輩が聞き、
「んまぁ、それはちょっと切ないわね」などと、
後輩のどうにもなっていない恋愛話や、
最近の出来事を、楽しく語り合っていた。

しばらくすると、おばさん４人が
（５５〜６５歳ぐらいか）私達の横に座った。
どうやら、大いに盛り上がっているようだ。

店はざわめていて大変に混んで来た。

すると、突然、その４人の中の一番年配の
おばさんが私達の方を振り返り、
「もう少し、静かにしてくれないかしら。
　私達、今、大事な話をしているの」と言う。
「…………はっ？」
「大事な話をしているから、もう少し小さな声で話して」
と大きく振り返って、もう一度言う。

私達は、普通の声で話していたし、
大騒ぎなどしていない。心外である。
「私達も大事な話をしているんですが…」
（それほどうーーんとでもないが…）

横にいたもう１人のおばさんが、とても
すまなそうに、目で謝っている。
そして、その年配のおばさんを引き止めている。
「今の若い人達には、ちゃんと言わないと
　礼儀がわからないから、はっきり言うけどね、
　声が大きいのよ」
と強気のおばさんはさらに言う。
（若い人の部類にまだ入るらしい）

「…………………」
私達２人は顔を見合わせる。
返す言葉もなく、かなり不愉快である。
すると、おばさんたちの残りの２人が、
「あら、その人たちじゃないわよ、うるさいのは。
　あっちの方からの声よ」
「この店は、声がラウンドするのよ」
「えっ、あら、違うの、この店声が響くんだわね」
強気のおばさんは、つぶやく。
（ほぅら、違った…謝るのか…）

私達の方を向いて、謝るかと思ったら、
「あなたたちの声じゃ、なかったみたい…
　この店は声が響くのね、あっちの方みたいね」
（何が響くだ、ラウンドだ…）

そして、さっき目で謝っていたおばさんが、
「ごめんなさいね、今日あったばかりなので、
　ちょっとよくわからなくて…」
などと、訳のわからないことを言って、
強気のおばさんの代わりに、謝っている。
（気の毒である、他の３人のおばさんが）

今日あったばかりの４人が
人に大胆に注意するほど、
大事な話をしたらしい…。

すると、後輩が顔を近づけて、
「あの人達、変ですよ。さっき、
　４人で手をつないで、ウェーブしてましたよ」
新宿のど真ん中の、大混みの喫茶店で、
おばさん達が手を握り合って、ウェーブ。
しかも今日あったばかりの人たち…。

その後、おばさん達の様子が気になって
チラチラ見ていたら、
どうやら「指リリアン編み」というのを
４人で始めている。
大きなひものようなものを指で編んでいる。

指リリアン編み仲間なのか…
その４人がする「大事な話」とはなんだろう…
「指はこう使うとうまくいくわね」とか、
「やっぱりこの色あわせじゃなくちゃね」
とかか。

その後、しばらくして、
４人のおばさん達は、帰っていった。
もちろん、強気のおばさんからの謝りのことばはない。
私達に礼儀を教えてくれようとした強気のおばさんは、
ひと言の謝りも出来ない人だったらしい。
なんだかなぁ…


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