三寒四温と言うべきか。 温かくなったり寒くなったりを繰り返しながら、徐々に春らしくなっていく。 夜はまだまだ寒いものの、昼間なんかは運転しているとちょっと暑いくらいで 運転席と助手席の窓を半分近く開けて、春の風を感じながらクルマを走らせる。
窓開けて走っていれば 春の暖かな空気に交じって、すれ違うクルマの音や、笑いながら話す高校生の声とか 街のちょっとした賑わいもいつも以上に聞こえてくる。
自転車で何処かへ向かうスーツ姿のサラリーマン 歩道のない道で、車道の端を颯爽と走るその自転車を追い越したとき 一瞬、歌声らしきモノが聞こえた。 どうやら、春の陽気に誘われて、歌でも口ずさみながら自転車走らせてるのだろう。
『ほほぅ…意外と、口ずさむ声って聞こえちゃうもんなんだね。』 なんて思い、でもまぁこんな陽気だから、そりゃ歌でも口ずさみたくなるわなぁ〜と なんかそのサラリーマンの気持ちもわからんでもなく、バックミラーに目をやると もうそのサラリーマンは、点になってはるか後方へと消えていった。
春の陽気は どこか人をのんびりとさせるのか。 周りのクルマも、なんかいつも以上にゆ〜ったりと走っているような気がして。 でもそれが不快というわけでもなく 信号待ちをするたびに『ま、気楽にいこうや。』ってな気分になる。
こういう日に昼寝なんかすると気持ちいいんだろうなぁ〜(*´д`)〜* 世間の時の流れがゆったりすぎる感覚に陥って しかもそれに心地よく流されながら まーこのまま仕事バックレて昼寝しちまおぅか そんなグータラな気分になりながらも いやいや振り切って、とりあえず目的地を目指す。
相変わらず、周りはゆったりしてて 行き先々の信号は、赤また赤。 あれからいくつの信号で足止めされたのだろうか 欠伸しながら、ふとミラーに目をやれば 見たことある『点』が近付いてくる
どうやらさっきの自転車サラリーマンが追いついてきたのだろう なるほど、こんな日は自転車のほうが正解なのかもしれないな。 ちょっとそのサラリーマンが羨ましくなる。
ミラーでもはっきり姿がわかるくらい その『点』は徐々に大きくなり それと共に、彼が歌う歌声も耳に入ってきた そかそか、なんか口ずさんでたんだっけ
『ンラララ〜♪』
『ンラララ〜♪』
『ンラララ〜♪』
…ん?
『ンラララ〜♪』
…え?
『ンラララ〜♪』
…ちょ…ちょっ?
『ンラララ〜♪』
違うっ!
こいつ口ずさんでる違うっ!!
めっさ全力で歌ってらっしゃるっ!!!!Σ( ̄□ ̄;)!
あれは口ずさんでるどころのレベルやない。 完全にコブシが乗ってるレベルだ。 気持ちわかる言うたオレがバカでした。 羨ましい言うたオレがバカでした。 自転車正解言うたオレがバカでした。
陽気な春の気持ちが一気にブッ飛んだよ。 いや、ブッ飛ばしてくれたよ。お兄さん。 返せよオレの春うらら!(笑)
…人前で口ずさむの、しばらくやめよ。
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