京都秋桜
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2005年04月08日(金) 真剣勝負【遥か】【友雅夢】

 求めて止まないものが手に入る瞬間、人は何を思うのだろうか。





 お日さまがあたって気持ちの良い日の午後。寝殿造というのはもともと太陽の光を大量に受けることを考慮されて作られた建物なのだからそれも当然といえば当然。
 部屋の御簾が風に揺れる。弱々しいその風は御簾を翻すことまではできないのだろうか。それともそれは勇気がないというのか。はたまた外の者に中を見せないためか。
 どちらにせよ、友雅には都合が良い。邪魔者が入って来てこのチャンスを逃したら自分を罵りたくなる。
 風すらそれを見るのは遠慮してしまう部屋の中。
 友雅はゆっくりと彼女の白くて細い手首を畳に縫い付ける。自然と彼女の脈拍が伝わってくる。それが生々しく感じられ、思わず口端をあげて笑う。
 散らばる長い黒髪が畳を白く見せていた。例えば彼女がいることでなんでもない畳が綺麗に思えるのは重症だろうか。
 しかし、事実その通り彼女の周りはなんだって綺麗。それを自分の目が悪いとは少なくとも、友雅は思わない。
 色鮮やかに重ね着されている着物。それも髪とともに畳の上に散らばる。
 また、自身の緩やかなウェーブのかかった黒髪も畳へと静かに足をつける。
 漆黒の瞳が友雅を見る。いつもは身長の関係で合うことのないその視線。けれど今は本当に彼女が目の前にいる。そんなことで気持ちが昂ってしまう自分を友雅は知らない。
 こんなに近くにいたら、否、こんなに近くによる前に、普段は扇子で拒否されるが今はその扇子を取り出すことすら彼女にはできない。どうしてこうすることをもっと早くに気がつかなかったのだろう、と友雅は自分でも思う。
 しかし、どうにも腹ただしいのはこんな状況にありながらも彼女は顔色一つ変えることなく、ただ冷めた瞳で自分を見ること。手首の脈拍も特別速いということもなくいたって通常通りに打っている。
 少しくらい慌ててくれても良いだろう。そうでなくとも頬を赤らめるとか、反応は様々だろう。

「何を、するの」

 でもまぁ、彼女がそんな反応を見せたらそれはきっと自分が欲しい彼女ではないのだろう、と友雅は思っていると、彼女がやっと口を開く。
 声のトーンすら変わらない彼女。とりあえず聞いてみる、という口調のような気がする。
 どういう状況なのか、分かっていないはずはないのに。それでも冷静に、普段を保っていられるのは何故なのだろうか。
 彼女にだって勿論、自分に逃げ場がなくて、背中は畳に預けられていて、目の前には橘友雅というあらゆる意味で有能な人間がいることを、分かっていないわけではない。そして、たまたま誰かが通りかかって助けてくれるなどという偶然に期待をしているわけでもない。
 単なる鈍いだけならまだ救いの道もあるものの、彼女に限ってそれはありえないから余計に性質が悪い。

「分からないかい?」

 試すような口調で言う友雅に対して、彼女は特にこれと言って変わった様子を示すわけでも抵抗の様子を示すわけでもなく淡々と言葉を紡ぐ。
 友雅の肩越しに見る天井がいつもより不鮮明だということを、彼女は特に気にしていなかった。
 そう、心のどこかで自分に言い聞かせながら。

「分かったらこれを話してくれるわけ」
「残念ながら今の私にそれはできない相談だな」

 相談じゃない、と彼女は心の中で思いながら溜息をつきたい気持ちをこらえて問い返す。

「誰ならできるっていうの」

 明らかに疑問系ではない彼女の口調。まっすぐ自分を見抜く漆黒の瞳がどこか心地好いとか言ったら彼女は呆れたようにその瞳を閉じ、溜息をつくだろう。
 諦めが早いのか、このままこれが進むと思っていないのか、誰かの助けを待っているのか、友雅には彼女の考えていることは分からない。

「さぁ? それは私にも分からないのだよ」

 顔をより一層近づける。それでも彼女に怯えた様子はない。 おそらく、こんなところを藤姫などに見られてしまったらそれこそこれは中断されてしまうだろうけれど。
 赤面してそのまま出て行ってしまいそうな人たちもいそうだな、と友雅は頭の隅でくだらないことを考える。
 そのまま彼女の胸へと耳を寄せてみる。
 すると、少しだけ変化が見られて。鼓動が速くなっているような気がした。気のせいかもしれない、と思った友雅はもう一度手首の脈を確かめてみるが、どうやらそれは事実らしい。
 無意識に笑いが込み上げる。
 普段は高みにいる彼女でもこうしてしまえば所詮他の女と同じか、と。それでも思った以上にその反応が返ってくるのが遅く、またそれを表に出さないようにしているところは極めて例外。もし、自分がこうして胸に耳を当てなければこれは気がつかなかっただろうからその徹底振りには感心してしまう。
 そして、顔をあげて彼女の顔をもう一度よく見る。表情まで意識的に操れるのか、心臓はあんなにも正直だったというのに、無表情。
 頑なに自らを拒む彼女の白く、整った顔を見ながら笑顔で言葉を紡ぐ。

「ただ一つ、言えることがあるのなら……」

 そして、彼女の耳元で囁くように続きの言葉を発する。
 それが何のためなのか、などということは言わずと知れたこと。


「私の残りわずかな理性には期待しないほうが良いだろう」


 初めから期待などしてない、彼女はそう言いかけてやめた。
 このままことが進めばこれは立派な犯罪だが、自分の醜態を晒してまで目の前の人間を法で裁こうなど、少なくとも彼女は思わない。
 すぐ横にある友雅の頭。早く離れてくれはしないだろうか。同じ黒髪なのにどうにも緩やかなウェーブのかかったそれはくすぐったい。


「こんなことで、私があなたのものになると本気でそうお思いならどうぞ」


 静寂な空間に凛と響くその声に友雅は彼女の顔を見て、瞳を見開かせる。どこまでも挑発的なのは自分だけではない。
 冷笑をうっすらと、本当にごくわずか顔に浮かばせ漆黒の瞳に友雅を映す。
 その笑みを見逃すほど友雅は彼女のことを見ていないわけではない。が、彼女の真意が友雅には見えない。やはり奥の深い女であった、自分が想像した通り。

 本当に欲しいものほど、なかなか手に入らない。
 しかし、だからこそ手に入ったときの喜びがあるのだろうか。





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 橘さん初書き。で、これってどういうことだろうね。でも、こんな感じです。私の中での橘さん。
 でも一番好きなのは泰明さん。しかも石田さん。永泉さんも好きです。しかも保志さん。おいしいことこの上ないね! 関さんは好きだけど、天真はどちらでも良い。


 高校登校三日目でやっと授業。と、言ってもガイダンス。いわゆる説明会というやつか。予習の仕方とか復習の仕方とかノートの取り方とか…社会と理科は合わせて一時間だったのに国語と英語は二時間ずつって一体どういうことだろうね![笑顔で言ってみる]

 国語の古典の先生は女性です。どうにもそりが合いそうにありません。えぇ、なんかオーラが合わない。気が合わない。道がそれている。
 そもそも私は人との相性の善し悪しが激しいので。しかもそれがだいたい第一印象で分かってしまうあたり伊達に何回も転校してないぜ! ってところですね。まぁ大抵、第一印象で分かるのは好感ではなく拒絶のほうがすっと多いんですけどね。
 国語の教科書に【平敦盛】の字を見つけたときはおぉ! って思いましたね! 保志さーん! 保志さんも大好きです。遥か3。

 ルーズリーフは禁止だそうです。整理や管理ができない例が多いから、というのが理由みたいですけど……そんな他人と私を一緒にしないでよ! 面倒くさいんだって! ノート何冊も持つの! 仕方がないのでノートを買いました。
 一教科でも駄目だと分かったらルーズリーフにする意味ないし。ルーズリーフとノート持つのも面倒くさいし、かさばるし。こうなったら全教科ノートにします。こういうのが揃わないのは嫌なのです。

 現国の先生は名前だけでしたので、誰か全く知りません。

 英語の先生とは相性良さそうです。少なくとも好感持てました、私は。男の先生でした。ノリが良かったのです。文法を主に扱ってくれるのですけど、退屈しないですみそうです。いやぁ、良かった、良かった。
 話とかも楽しいし、面白いです。
 ALTの先生との授業も早くしてみたいです。

 いろいろ忙しいです。やっぱり高校というのは。復習には慣れていますが、どうにも予習には慣れていないので…。しかも古典の予習だけで一時間以上かかるなんて…。
 英語の予習は分からない単語が多すぎて辞書と生活しそうな毎日が続きそうです。まぁ、覚悟はしていたことなので良いとしますか。

 月曜日には数学二時間と図書室のガイダンスがあります。とっても楽しみです。前者も後者も。
 図書館には電撃文庫とかあるらしいので何があるのか本当に楽しみ。希望はダブルブリッド。あれ、途中までしか読んでないから。Missingはまだまだ集め中。どうしようもなく亜紀が好き! 亜紀→恭一が大好き。最後にはくっついて欲しいですけど、絶対に無理なので妄想するまでです。

 そして今日は母上と妹のアホさ加減にちょっと脱力しました。夕食中のことです。こんな会話がありました。

私「だってほら、彼女、箱入り娘だから」
妹「重箱? みかん箱? おもちゃ箱? 貯金箱?」
母「希望は貯金箱で」
妹「ファイナルアンサー?」
母「ファイナルアンサー!」
私「いや、どうでも良いけど二人とも意味違うから」
母「つっこむのがおそーい」
妹「どーでも良いんだ、へー」

 ……これでも母です。私の母上です。アホなことぬかしていますが、家事に関してはプロの母上です[必死で言い訳]。楽しかったから良いですけどねー。日常茶飯事ですし。
 妹も思い切りバカですね! 身内だから堂々と貶せます。音楽の才能を周りから認めてもらっている、ある意味人生偏り型。つまり勉強は平均並というところなのです。

 ちなみに私の言う【彼女】というのは絵も上手くて、文章もレベルが高くて、いろいろな意味での私の師匠のA輝さんです[あきさんじゃないよ!]。家からしてなんか違うんだよね! 雰囲気が! いかにもお嬢様って感じで。あの家で私の名前が出ていると思うと恐れ多くて仕方がありません。

 日記のタイトルですけれども。京都秋桜。…初めて見たら普通に【きょうとこすもす】と読みそうですが残念![何さ] 正確には【みやこさくら】です。みやこ、打てば変換されますよ、この字。さくら、は絶対に無理ですけどねー。

 明日はコナンです。中学時代の友人と見に行きます。すごく楽しみです。怪盗キッドが出ないのは残念だけどね! 平次が出るようなので、良しとします。新一はそれほど好きじゃなかったりする。
 新一×蘭は好きじゃないです。理由はコナン×灰原もしくは新一×志保が好きだからです。蘭自体好きじゃないんですよねー。
 園子のほうがずっと好き。だって財閥のお嬢様。園子母も好きです。


常盤燈鞠 |MAIL