暴かれた真光日本語版
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2004年05月28日(金) 095 judge

〔ニュース追跡:世界真光文明教団事件(下)〕 (9月8日8−9面)


<”真相”知らず惑う30万信者>

<ついに別教団の発足――”私物化”歴然>

<詐術?教名変更の印象――別教団なのに…教祖5周年に公表>

(11) 二つの教団

 昭和五十二年二月二十四日に東京地裁の本案判決、同三月三十一日に東京高裁の仮処分と勝訴した関口教え主は、念願の本部(田園調布)に戻り、教団を一本化し、教団使命遂行に邁進せんとした。しかし、それまでの二年半に、教団は恵珠氏およぴその側近の完全な”私物”と化しており、荒廃をたどっていた。

 初代教え主の死後、恵珠氏とその側近は、すぐに教団の印鑑およぴ会計帳簿、預金通帳、預金証書、組み手名簿(信者名簿)等の重要書類を関口教え主に渡さず、事実上支配していた。あまつさえ、虚偽の代表役員登記ばかりか、教団の預金も教団代表役員岡田恵珠名義に変更してしまい、重要な教団の財産を、ほしいままに管理支配していた。そしてこれらの偽装の事実は、三十万組み手に何ら知らされることがなかった。

 昭和五二年四月六日、東京高裁の判決にもとづき関口教え主の委任を受けた弁護士、執行官は教団本部で恵珠氏側に、教団財産の引き渡しを求めた。ところが本部からは、既に帳簿等の重要書類から什器備品に至るまで、めぼしい物は総て持ち去られていた。

 こうして世界真光文明教団の財産を横領した恵珠氏等は、本部を明け渡しはしたものの、その後も、”世界真光文明教団”の名称と”恵珠教え主”を自称しつづける。

 しかし、九月二十二日、恵珠氏等が上告していた仮処分判決に対して、最高裁第一小法廷は、上告の理由が全くないとして棄却する判決を言い渡した(資料1参照)。

そこで真相の隠蔽策として、恵珠氏等は、昭和五十三年六月五日、主たる事務所を岐阜県高山市に置く「宗教法人真光」を設立登記(資料2参照)する。

 そして同年六月二十三日、世界真光文明教団の名前を詐称し、東京国際貿易センターで「聖祖師祭」(初代教え主の五周年法要)を開き、参集した組み手二万人に対し、裁判で敗訴し、世界真光文明教団から退いたことを一切知らせず、今後”宗教・真光”として、教線拡大と世界総本山建立に邁進すると発表し、あたかも”ご神示”によって名称を変更したかのように説明し、組み手を愚弄した。真相を知らされない組み手等は、自分達はいまだに世界真光文明教団の信者だと信じて、別の教団「宗教法人真光」の本山建立のために奉納金を納めつづけていった。

<隠された奉納金――七億円余の横領を告訴>

(12)七億余円の横領を告訴

 昭和五十四年五月十七日、関口教え主は、岡田恵珠、友森清晴、有間富子の三人を相手どり、彼等が隠蔽した教団財産の一部である七億六千三百十六万余円の業務上横領を東京地方検察庁に告訴した。
告訴状によると、昭和四十九年七月五日、恵珠氏が代表役員に就任した旨の虚偽の登記を了し、代表役員であることを僣称し、「管長」と自称する友森氏と「経理部長」と自称する有間氏等三人は共謀のうえ、
世界真光文明教団の財産を費消し、あるいは教団に損害を与える目的で、教団所有のお金を不法領得して、業務上横領したとしている。

 犯罪事実として次の三点をあげている。

(一) 金三億百四十八万四千三百六十八円

 これは昭和四十九年七月五日(恵珠氏の代表役員虚偽登記の日)ごろから同五十二年三月三十一日(東京高裁の仮処分判決の日)までの間に世界真光文明教団の信者から教団に寄付された奉納金で、
恵珠氏等がこれを現金のまま預り保管していたものであり、教団代表者、教え主の関口氏に引き渡されるべきものであるにもかかわらず、これを引き渡さず、横領したものである。

(二) 金二億六千万円

 これは、教団の三井銀行自由ヶ丘支店の普通預金から、恵珠氏等がほしいままに左の日時に四回にわたって払い戻して、同時にこれを十六銀行益田支店(岐阜県益田郡萩原町)の友森清晴名義の普通預金口座へ送金して、横領したものである。
……………………………………………………
昭和五十二年三月一日・五千万円、
    同年三月十日・三千万円、
    同年三月十七日・七千万円、
    同年三月十七日・一億一千万円。
……………………………………………………

(三) 金二億百六十八万三千六百五十八円
 これは教団名義の東京都民銀行代田支店の預金から、恵珠氏らがほしいままに払い戻して、同年四月二日に十六銀行益田支店の高橋美枝子(友森氏の実娘)名義の預金口座に送金して横領したもの。

 犯罪事実(一)については、昭和五十二年四月六日、恵珠氏等に教団所有財産の引き渡しを求めたが、同奉納金を何処かへ隠匿して、告訴日(昭和五十四年五月十七日)の時点まで、奉納金の所在すら明らかにせず、教団への返還を拒みつづけている。なお、奉納金三億余円を恵殊氏が所持していたことは、仮処分申請事件で裁判所が選任した鑑定人・清水淳氏により確認されている。

 犯罪事実(二)、(三)については、教団の銀行預金を多額払い戻し、あるいは預金名義を変更するなどし、あわせて会計帳簿、重要文書などを隠匿したうえで、これら払戻金を費消したり隠匿し、あるいは第三者へ送金する等して領得されたものの中から明白なものに限って(二)の三井銀行の二億六千万円、(三)の東京都民銀行の二億百六十八万三千六百五十八円について告訴しており、これらのお金は、いずれも岐阜県益田郡萩原町の十六銀行益田支店にある友森清晴名義の口座、または友森氏の実娘で教団の組み手ですらもない高橋美枝子名義の口座へ送金されている。

 恵珠氏等は、東京地裁での仮処分判決言渡し日の前日である昭和五十年七月二十三日、敗訴判決を予想して教団の預金を勝手に払い戻した上で、新たに創設した「世界本山御造営奉賛会」名義の口座へ移しかえたが、仮処分申請が却下されたことから、同年十月十七日に再び教団名義の口座に戻している。さらに東京高裁の仮処分判決が敗訴となることを見こして、判決直前の昭和五十二年三月十日、関口教え主による教団財産管理を妨げる目的で、教団名義の預金の大部分を、同奉賛会名義の口座に三度振りかえている。これらの操作のうち、三井銀行自由ヶ丘支店に関するものを図にすると、資料3(預金名義変更図)のようになる。

 これらのお金のうち、前記(一)については、後に恵珠氏側から教団に返還され、告訴は取り下げられたが、(二)、(三)は未だに返還されていない。



<争点は二代教え主の指名内容のみ――無用の教義論争>

(13)紛争の争点

 恵珠氏の本案判決に対する控訴を受けて、東京高裁の審理は、その間、別法人「真光」が設立され、恵珠氏がその代表役員に就任したにもかかわらず、続けられていった。そこで展開された関口氏および恵珠氏の主張をもとに、改めて争点を追究し、もって今回の世界真光文明教団”天一坊事件” の真相を明らかにしたい。

<指名を受けたのは誰か>

 争点は、昭和四十九年六月十三日に、岡田光玉初代教え主によって指名された後任教え主(ニ代教え主)が関口氏になるのか、恵珠氏になるのかという一事につきる。

 関口氏の指名については本特集で再三言及し、六月二十五日夜、恵珠氏から初代の遺言が伝えられ「二代は関口さん」として指名を受けており、この事実は既に四度にわたり裁判所の審理、判決をうけてきている
(仮処分事件につき、東京地裁昭和五十年七月二十四日判決、東京高裁昭和五十二年三月三十一日判決、最高裁昭和五十二年九月二十二日判決、本案につき東京地裁昭和五十年二月二十四日判決)。
仮処分事件においては多数の証人調べが行なわれ、実質的には通常手続きと全く同一の証拠調べがなされたうえで判決が言い渡されたものであり四度の裁判のうち、事実認定を担当した三つの事実審裁判所は、何れも関口教え主の主張を正当であると認定している。本紙の報道も裁判所の判決をもとにしており、関口氏が二代教え主に指名されたことは明確である。

<”ご神示”メモの真相>

 ところで恵珠氏は”ご神示”なるものをもって、これに恵珠氏を二代教え主にせよとの記載があるから、六月十三日に自分は二代教え主に指名されたのだという主張をしている。

 これまでの裁判では、いずれも”ご神示”について、その文意が一義的に明白でないとされ、通常誰が読んでも、ニ代の指名を記載されたものであるとは、理解できないとされ、恵珠氏の主張が退けられてきた。

 ”ご神示”の文意について考えると、恵珠氏等は”ご神示”と称するメモの文中に、「ヨのみ霊もちて娘に与えよ」とある一節、のみをよりどころに恵珠氏の二代指名を主張し、極めて晦渋な宗教上の教義およびその解釈を陳述している。

 この一節は初代教え主が「御聖地と地震関係、噴火の件と造営着手御伺い」として書いた”ご神示”の中の一部である。

 「上スワの方 位山 しばし様子みよ
 神守り丈け秘かにここそのまま
 ヨ丈けまず持ちて み霊でよい一つ娘いそげ此地時を待てしばし見よ」
 …………………………………………………………………………………… 
 「クライ山、思い出さしめん為 しばし仮にヨ丈け秘かにもちて
 (ヨのみ霊もちて娘に与えよ)間に合わず此地時をまて」
 
 この二つの文章が同一の趣旨で書かれていることは恵珠氏も供述で認めている。

 この趣旨を関口教え主は「ここ(熱海)をそのままにして、本山建立はすぐにはできないだろうから、とりあえず神守り(み霊代)だけまつり、熱海に三つある宮のうちヨ宮のみ霊だけ一つもって、娘に急いでクライ山の方にいかせなさい、この地(熱海)での建立はしばらく待ちなさい」という意味であると解釈したが、これは通常の文意として充分理解できる。

 他方、恵珠氏は「ヨのみ霊をまず娘にかけ与えなさい」という趣旨であり、「ヨのみ霊」とは教義上教え主をさすのであり、従ってそれは二代指名になるとの解釈をしている。

 この解釈には、次のような疑問がある。ヨのみ霊が二代教え主の地位をさすということ自体が独特の教義解釈であるうえに、そう解釈するとすれは何故「ヨ丈け」という表現になるのか、「神守り丈け秘かに」とはいかなる意味になるのか。特に「ヨのみ霊」が二代教え主をさすとすれば「み霊でよい一つ娘いそげ」という表現は、その趣旨が理解できなくなる。また「クライ山思い山さしめん為」「しばしヨ丈け密かにもちて」という前文との関係も「間に合わず此地時をまて」という後文との関連も不明になってしまう。

 しかも、普通に判断すれば、”ご神示”にはまさに「御聖地と地震関係、噴火の件と造営着手」のことが書かれているわけで、ここに突如として「ニ代教え主に娘を指名せよ」等と書いてあるというのは文脈としても唐突である。

 こうしてみると”ご神示”についての恵珠氏の主張は、ニ代指名とは無関係なものを、故意に宗教上の教義教理による粉飾を加えて、あたかも二代指名に関係あるもののごとく曲解したものでしかない。

 このように裁判所に提出された”ご神示”をみても、「(ヨのみ霊もちて娘に与えよ)」なる文章が二代教え主の指名とは、無関係であることが、極めて明らかである。









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