言の葉孝

2009年02月24日(火) FF12をクリアしました。

 僕にしては珍しく、一昨年のゴールデンウィークに買ってから、ずっと積みゲーになっていたFF12に手を出してから、たぶん一か月くらいたったんじゃないかなーと思います。

 一応、本編のほうを一通りクリアしました。

 ……しかし、空しい。
 普通RPGをクリアすると、それまでの苦難をすべて清算するようなカタルシスが得られるものなのですが、それがまったくありません。
 FF12はRPGとして、いや、FFとして、いくつか大切なものが欠けていると言わざるを得ません。

 第一にシステムがよろしくありません。
 フィールドとバトルシーンの境目がないことが、FF12の売りの一つだとは思うのですが、バトルミュージックが好きな自分としては、フィールドとバトルのメリハリはほしいところでした。

 キャラクターの成長にしろ、ほとんど個性というものがないので下手をすれば戦闘能力としてはまったく同じキャラクターが6人できてしまいます。僕も武具で区別はつけるようにしたものの、防具は全員同じ装備でした。

 思えばFF5も同じような条件だったりするのですが、それでも役割分担できていたのは、全員すっぴんにもどる終盤の終盤までジョブによって装備や能力に制限がかけられていたからです。
 すっぴんに戻ってからも、いろいろ必要なアビリティもあり、つける能力で結構個性はついてきましたしね。

 戦略も、コマンド入力でいちいち決めず、半自動的なシステムでやるので、自然と「たたかう」がほとんどメインの戦略になってしまうのが悲しいところでした。

 ミストカートリッジとミストナックという考え方も厳しかったです。「ミストナックを使う=MPをすべて失う」だったので、3つ目のミストナックを取得するまではボス戦といえば「ミストナック連発で瞬殺」という大変つまらない戦略を取る以外はミストナックは非常に使いづらいものでした。

 僕としては、ボスはミストナックでかっこよく止めを刺したいのですよ。せっかく今回はボスの残りHPがわかりやすいゲージもついていることですし。それが普通の攻撃でとどめを刺すなんて、あまりにもロマンがかけるではありませんか!
 ようやくロマンの感じられる勝利ができ始めたのが3つ目のミストナックを取得して、どう戦ってもバトル終盤でみんな1つずつカートリッジが残っている状況になってからでした。


 第二にアイテム集めの難易度がよろしくありません。
 FF12というゲームでは「宝箱があるかどうかはランダム。その中身もランダム」というシステムをとっています。
 つまり、「○○にある宝箱で××がとれる」ということが一概に言えないわけです。困ったことに貴重な装備品などがとれる可能性のある宝箱でも「サビのカタマリ」というハズレを引くことが少なくありません。
 結局、僕の場合、ラスボスと対峙した時の装備が普通に店で買える「デスブリンガー」とかですしね。
 攻略サイトとか見ても、最強の剣とかはえらく時間と神経をすり減らすような思いをしてやっと手に入るもののようなので、わざわざ入手に乗り出す気にもなれません。
 ゲーマーには喜ばれるかもしれませんが、相当やりこむつもりでないと楽しめない仕様は、あまりいただけません。


 第三にストーリーがよろしくありませn。
 ストーリーというかキャラクターの自由度が恐ろしく高いサガシリーズとは対照的にキャラクターが固定され、まるで小説を読んでいるかのような進み方をするのが特徴的だったFFでしたが、今回は一転して「読者の想像に任せる」ということで、いろいろ端折っているような展開でした。

 どこででも言われていると思われますが、主人公のヴァンからして、この物語に参加している理由がいまいちよくわかりません。
 物語的に主導を握っているのはアーシェですし、その次に因縁があるとすればバルフレアとバッシュです。

 あまり考えがまとまっていないのですが、なんとなく物語がちぐはぐな印象を受けるのは、動機を持っている人物と、情熱を持っている人物が一致していない点にあるのではないでしょうか。
 たとえば一番動機の強いアーシェは力を渇望していたり、復讐のために旅をしているので、強いけれども暗い感情を持っていますし、バルフレアも父親の一件に関して動揺を見せる以外はかなり淡白にアーシェの旅に付き合っている印象を受けます。
 対して、一番この旅に感情をまっすぐむき出しにして参加しているのは、大した動機のないヴァンだったりします。この物語に対して動機や因縁を持っている人物ほど明るい情熱がないのです。
 動機と明るい情熱という条件を思えば、この物語で一番主人公たる資格を持っているのはラーサーかもしれません。

 ヴァンだって、もう少し設定で深みを出せていれば、もっと面白くなった可能性はありました。
 たとえば「旧ダルマスカ王国において、王家打倒と改革を狙っていたレジスタンス勢力の関係者」と設定すれば、アルケイディスによってその目的の半分(王家打倒)が叶えられ、反して愛するダルマスカという国を奪われたことで複雑な心境が出せたと思います。
 そして、自分が打倒しようと思っていた王家の人間であるアーシェとの邂逅もかなり意味を持つことになったでしょう。

 また、この物語はファンタジーとしてはかなり俗な事柄である戦争を背景としているせいか、謎が少なすぎます。
 物語の主導者であるアーシェの目的が「アルケイディスの打倒」と「ダルマスカ王国の再興」です。考えるべきは方法論であり、幻想めいた謎ではありません。
 一応、神秘的な存在である破魔石などは登場しますが、あくまでも兵器としての取り扱いの域を出ておりません。オキューリアなどは、大して触れられもしませんでした。

 僕は、FF12をプレイしている間、モブ退治などのサブイベントを楽しんでいる間、全く本編の続きが気になりませんでした。
 ミステリー小説などはその極端な例ですが、人に物語を読み進ませる大きな力の一つは謎の提示と、それを解くための道程、そして謎の解明であると僕は考えております。
 FF12にも謎はありました。しかしその提示が明確にされていないので、答えを明かされても大して感動がなかったりします。
 レダスの正体などがそうです。もうちょっと、彼の正体に関して謎かけ的な表現があれば、もう少しは大灯台の最後のシーンが感動的になったかもしれません。

 こういっては不遜かもしれませんが、同じ素材が与えられていても、僕がシナリオを書いたほうが物語的には面白くできたんじゃないかな、とまで思うくらいの出来でした。

 DSのレヴァナント・ウィングはやるべきでしょうか……。
 とりあえず、FF12のアルティマニアでも読むか。(←さんざんこきおろしといて結局買ったんかい/汗)

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