あっさりと決まりましたな。
阪神ファンはもちろんでしょうが、ロッテファンも多少は残念な気持ちでしょう。スポーツ観戦って言うのは、熱い闘いの後、自分の応援していたチームが勝つっていうのが一番楽しいんですから。
まぁ、自分はスポーツ漫画は好きでも実際に見るのはあんまり好きじゃないんで、いいんですけどね。それでも、カナダにいた時は本気でメディスンハット・タイガース(←地元のセミプロアイスホッケーチーム)を応援してました。あれはアツいチームだった!
あとは特に書くネタもないので、以下に“まほゆめ”最新章の一部を公開しときます。
章題さえ決まってないけどな!
ふう、という本当の意味で一息ついたカンファータ国王・ハルイラ=カンファータ十八世は周囲に広がる雄大な景色----机を埋め尽くす書類の山脈を見渡した。それでも正面にある扉が見えるようになった分、少しは見晴しもよくなっただろうか。 「失礼いたします、陛下」 その扉をノックした後、「ああ、うん」という、気の入っていないハルイラの返事を待って執務室に入ってきたのはバスタ=カノールだった。ハルイラはバスタが小脇に抱えた書類に気が付くと、露骨に眉根を寄せる。 「なァ、バスタ。国王とはここまで四六時中書類に埋もれる職業であっただろうか?」 「いえ、書類仕事以外にもしていただかねばならない仕事は山とございます」 本来のハルイラの仕事は、国政議会の議長を勤めたり、外交の為にカンファータの属国を回ったり、市民の声をまとめた書類に目を通し、それをどう反映すればよいか取り敢えずの意見を述べたりしなければならない。 「ああ、例え仕事の量が数倍になろうとも、そちらの仕事の方が良い。この、合金の壁で囲まれた部屋を出られるならば、な」
最近ハルイラは自国、つまりカンファータに帰ってすらいなかった。先日“文明の最先端”と名高い魔導研究所を擁するエンペルファータで起こった大きなクーデター騒ぎのお陰で、世界のへそとも言える、三大国の国境線が交わる中立地帯に建てられた“自由都市”フォートアリントンに閉じこもって事後処理の書類仕事に従事する羽目になったのである。 エンペルファータはその名にも現れている通り、エンペルリースとカンファータの共同出費で両国の国境線上に位置する。そのためそこで起こったクーデターは国際的な問題であるため、中立地帯であるフォートアリントンでその始末をつけなければならないのである。 それでも自国の仕事でも外せない仕事はある。忌々しいことにそのほとんどが書類仕事なのであるが、それはハルイラの右腕であるバスタがカンファータの首都・フリーバルとフォートアリントンを移動用魔法陣で往復し、運んできてくれる。 「……と言うわけで私は今、そなたが抱えている書類を受け取る意思はないぞ」 長い前置きだったが、ハルイラはきっぱりと言った。もちろん意思がなくてもやらなければならない仕事は受け取らざるを得ないのだが、言葉の上でだけでも抵抗したい。特に相手が長年の付き合いになるバスタとなると、甘えたい感情が出る。
「ああ、これは報告のためだけに持ってきた資料ですので、陛下の手を煩わせるものではございません」 「その言葉を聞いた途端、そなたが輝かしく見えてきたな」と、ハルイラはほっと息をつき、打って変わったようにリラックスした様子で尋ねた。「で、報告とは何のことだ? 明日のエンペルファータ視察の予定でも変更されたのか?」 予定によれば、今日の内に書類仕事を一段落させ、明日から一週間の予定で同じくこのフォートアリントン国際会議所のどこかで書類仕事に追われているはずのエンペルリースの女帝と共に、魔導列車に乗って事件の現場であるエンペルファータに視察旅行に行くことになっている。 「はい。変わった……と申しますか、無期延期となりました」 「どういうことだ?」 バスタの意外な報告に、ハルイラはまたも一転、意外そうに表情を引き締める。それを受けたバスタは、抱えていた書類を持ち上げ、報告する。 「本日、赤橙(せきとう)の刻(午後四時半)にこちらに到着することになっていた魔導列車が何者かに襲われたそうです」 「……!」 「当事者の供述によりますと、砂色の衣を纏った褐色の肌を持つ者二人以上の犯行で、作戦行動から察するにかなり統率の取れた動きであったようです」 バスタは召喚獣と思われる大きな蜂の襲来という事件の始まりから、次にそれを陽動として他の者が動き列車内の運転士全員を殺害され、車内に爆弾を仕掛けた上、ブレーキを壊していったこともまで話す。 いつものように淀みなく話すバスタだが、その声の裏に冷静でいられない動揺がちらちらと見えた。 「それで……どうなった?」 どうにもなっていなければ、今頃フォートアリントンも無事では済んでいまい。それほどの大きな事件が直ぐハルイラの耳に届かないはずがなかった。 「襲撃者達は、乗客の中のある一行が迎撃したのですが逃亡されました。列車は乗客を後方車両に集めた上で切り離して止めた上、爆弾を抱えた前方車両は件の乗客一行が魔法で破壊し、結果的に損害は、その前方車両と魔導列車の乗務員のみということになります」 「………それはとてつもない僥倖であったな。それほどのことが起こっておいて、実質的に人の被害がほとんどなかったとは」 「まことに」
これで、エンペルファータ行きが無期延期となったのだろう。これは明らかに国際秩序の混乱を狙った大犯罪である。放っておけばフォートアリントンの一角が火の海となっていただろう。それこそおびただしい数の死者が出たに違いない。 そんなことをした人間が、三大国の国家元首二人を乗せた列車を狙わない可能性はただの薄っぺらい期待に過ぎない、ということだ。 「エンペルファータで起こったクーデターと関係あると思うか?」 「ある、と考えるのが自然でございましょう」 報告書によれば、エンペルファータのクーデターには先日より挙動の怪しいウォンリルグが一枚噛んでいるらしい。何しろその精鋭中の精鋭であるマータ(ウォンリルグの国家元首)直属の部隊“ラ・ガン”が出てきたという。 クーデターが起こったのはエンペルファータ。そこから伸びる魔導列車の線路上で何かが引き起こされたとして、世界秩序を大きく揺るがしかねなかったという共通点を考えるとエンペルファータのクーデターと結び付くのはとても自然なことだった。 この間のウォンリルグの定例国際会議の無断欠席及び移動用魔法陣の閉鎖という事件から世界が大きく揺れ動いている気がする。否、何者かによって揺り動かされているのだ。 「あと砂色に褐色の肌、それに召喚獣……と言ったな?」 「やはり気になられましたか」と、バスタが資料から目を挙げて尋ねた。 ハルイラは、静かに立ち上がり、壁に沿って歩き始める。 「“あの一族”は既にただの伝説になりかけているが、滅びた廃れたという話はついぞ聞いたことがない。それに歴史上派手に暗躍していた者達は間違いなく実在したのだ。世界が概ね平和になってからは全く噂を聞かなくなったが、今さら何を目的に……、まてよ褐色の肌に召喚獣?」 「どうか致しましたか? 陛下」 部屋の中をゆっくりと周回しながらぶつぶつと何かを呟いているハルイラに、バスタが訪ねると、ハルイラは俯けていた顔を挙げて答えた。 「たしか、ファトルエルでリク=エールの便利屋をしていた男が褐色の肌で運搬サソリの召喚獣の使い手だったな、と思ってな」 「なるほど」 ファトルエルの大災厄の際、北門でクリーチャーを引き止める役割を一手に担った“マスター・スコーピオン”コーダ=ユージルフ。あの異常な戦闘能力を持つ召喚獣を考えると、彼が“あの一族”の出身だという発想も何ら突飛なものではない。 「できれば話を聞いておきたいのだが……、どこにおるとも知れんのが残念だな」
「いえ、フォートアリントンに滞在しておりますが……お呼びになられますか?」 意外な言葉に、ハルイラはぴたりと歩みを止めてバスタを振り返る。 「何故そなたがコーダ・ユージルフの居場所を知っている?」 「確定的ではございませんが、魔導列車の乗客から『切り離した後方車両を止めてくれたのが、大きなサソリに乗った浅黒い肌の青年だった』という報告がいくつかあるそうです。また『どこからともなく呼び寄せた』という証言から、この大サソリは召喚獣であった可能性がございます」 バスタの淡々とした説明とは裏腹に、ハルイラの混乱は未だ続く。 「何故彼がここにいる?」 「おそらくリク=エールに付いてきたのではないかと」 今度は記憶に新しいファトルエルを救った青年魔導士の名を出され、ハルイラの困惑はいよいよ極まった。 「待て待て、彼もフォートアリントンに来ているというのか!?」 「ええ、そのはずです。そのリク=エールに付いて報告なのですが、どうもエンペルファータのクーデターでも解決したのが彼ら一行のようです。魔導列車に乗ってフォートアリントンにやってきた乗客がそう証言しておりました」 その報告によると、エンペルファータの騒動の中で現れた“ラ・ガン”グレン=ヴァンター=ウォンリルグを仕留めたのがリク=エールなのだという。駅前広場で展開された決戦を見ていたらしい乗客が確かに彼で、魔導列車に乗っていたと断言したらしい。 おまけにカーエス=ルジュリスは、このクーデターの首謀者でもある魔導士団長・ディオスカス=シクトを討ち取ったという報告がある。 「なんとまぁ……彼もよくよくトラブルに巻き込まれやすい運命なのかな」 ファトルエルの大災厄、エンペルファータのクーデターの次は魔導列車の暴走ときた。それら全てをほぼ平穏に収めたと言うのだから。
「まてよ………ということは、ジェシカも一緒にいたんだな?」 「ジェシカ様におかれましては、魔導学校の生徒達を指揮し、クーデターを起こした魔導士団を壊滅させたそうです」 その報告を聞くと、第十八代カンファータ国王は執務机に戻ると、厳粛に命令を下した。 「よし、リク=エール達一行を呼んで参るが良い」 「御意に」
web拍手レス(何気にこの国王&宰相コンビは書きやすくて好きだ)
本日はコメント無し
以下、追記
ゆきやさん、けんさん、まさやんさんが夢バトンに答えてくれています!
ゆきやさん! そのしょっちゅう見る夢、連載しましょう!
けんさん! 闘いつつ愛を育んで下さい!(笑)
まさやんさん! 夢を見ながらやったらダンク出来ますよ、きっと!
|
|