2005年04月12日(火) |
ちょっとした現実ミステリーの日(問題編) |
あっはっは、忘れてましたよ。日本の雨の鬱陶しさを。 特に今日はイヤらしかったですねー。軽い雨で風がふいていたので、傘を差していても腰から下がガンガン濡れていくんです。 そんな雨の中、今日の事件は起こりました。それでは、自分視点一人称小説風味でどうぞ。
僕は普段通学に自転車を使っている。厳密に言うと、電車も使っているのだがややこしい上、ここでは不必要なので説明を割愛する。 しかし雨の日は自転車に乗れない。要因はいろいろあり、その一つ目は、傘を差しながら自転車に乗る自信がない事。やって出来ない事はないだろうが、危ない上にイマイチその行為が好きじゃない。大した事じゃないのに、人がやっているのをみると訳もなく妙に腹が立つ。誰にでもそういう行為の一つや二つ必ずあるものだろう。 なら雨合羽を着ればいいだろう、と思うだろうが、合羽は脱着が面倒だし、蒸し暑い。それに雨の日に自転車に乗ると目に飛び込んでくる雨粒が鬱陶しくて仕方がないのだ。その他あまり合理的でない思考の末、たたき出される答えが「歩いた方がマシ」という結論だ。 さて、自転車でも30分掛かるところを歩くとなると相当時間がかかる。僕はいつも雨に備えて“歩いて言った場合、ギリギリの時間”に家をでるので、自転車で行くと余裕だが、歩きとなると少し急がなくてはならない。
学校に向かって歩き始めたのが8時55分。ここから学校まで歩くとなると一時間強掛かるので、授業に間に合うかどうか微妙なところだ。少し早足気味に歩く事を心掛けながら行けば何とかなるだろう。 歩くのは結構好きだ。人の話も聞かなくてもいい、あまり周りに注意を払わなくてもいい歩行中は考え事に没頭できる。これでいつでも小説の次の展開の事を考えられると、建設的なのだが、七割方は全く違う。夢みたいなものだ。それでも、寝ている時が心地良いように、歩きながら見る夢も割と楽しい。
時々時計を確認しながら歩き、ほとんど時間ちょうどに教室に飛び込んだ僕だったが、授業はもう始まっていた。が、その時黒板に書かれている文字をみて眉を潜めた。 『映画「命を掛けたザイル」』 この授業は「共通自由特別講義 〜職業を考える〜」という授業のはずで、それにしてはその黒板に書かれた文字はそぐわない内容ではないだろうか。 僕が入ってきた時、その授業を教えていた先生が資料を配っていたので、とりあえず資料をくれるように先生に頼んでみた。 「すみません、僕にもそれ、いただけますか? ちょっと遅刻してしまったもので……」 「あぁ“ちょっと”、ねぇ」 その時、先生は僕の言葉に何かが引っ掛かったような妙な反応を見せた。学校に着いてからは時計を見ていなかったので確信はなかったが、遅刻は五分以内で済んだはずだ。それは“ちょっと”の範囲ではないのだろうか。 それから、黒板の内容が気になっていたので、僕は念のためにこの授業は「共通自由特別講義」か、と聞いてみた。すると先生はそんな言葉は初めて聞いた、というような顔をして僕に渡そうとしていた資料の片隅に書いてある文字を示して見せてくれた。僕の危惧した通り、それは全く違う「スポーツ学演習」だかの科目だ。 つまり、僕は全く違う授業に来てしまったという事になる。
だが手持ちの履修授業リストと照らし合わせても、教室は間違っていない。教室変更もあったのだろうか。否、もしそうなら、あの「スポーツ学」の先生も教室変更があったからじゃないか、と言ったはずだ。 とりあえず掲示板で確かめてみると、教室変更ではなかった。休講でもない。リストに載っている教室が間違っていたのだろうか、と教務課に行き、時間割りを見てみると間違ってはいない。 ますます謎が深まるばかりで、僕一人では収拾がつかなくなったと判断した僕は最終手段とばかりに、教務課の職員さんを呼んで尋ねてみた。教室変更するにしろ、何をするにしろ先生達は教務課を通して手続きをしなければならないらしいので、教務課の人に聞けば一発で本当の教室が分かるはずだ。 「ええと、僕この二限目の『共通自由特別講義』っていう授業を受けるつもりでこの教室に行ったんですけど、全く別の授業をやっていたんですよ。一体この授業ってホントは何処で行われているんですか?」 ところが事情を聞いた職員さんは僕と同じくらい不思議そうな顔をして、とりあえず元の教室に戻って確かめてみる事になった。 結果、やはりその教室では全く別の授業が行われており、もう一度掲示板を確認してもやはり教室変更、休講の事実がない事が確認できただけだった。 「こんな調子だったら、他の人達も教室見付からなくて迷ってるんじゃないですか?」 「そうやねー、でも今のところ一人も来てないけど」
教室変更、休講もしていない授業。 入った教室は間違いなく時間割りに書かれている教室。 教務課に確かめても何の異変も見付けられない。
混乱しているのは僕達二人だけで、他は全てが日常通りに動いている。全てが正常に動いている。 なら、僕が受けるはずの授業は何処に------?
解決編に続く
ホントは全部書くつもりだったんですけど、書いてる内にミステリーっぽくなってきたので、問題編と解決編に分けます(笑)。
何故、僕も教務課の職員さんも、僕が行くはずだった授業の教室を探し出す事が出来なかったのでしょうか?
ヒントは十分過ぎる程に文中に示されています。状況を整理して、ちょっと考えれば簡単に分かるはずです。この事件の、馬鹿馬鹿しい、というか痛々しいオチが。
どーですか、棗さん。図らずも生まれたみすてりーですよ。曲がりなりにも。お祖父さんの名前に掛けてこの謎解いてみせませんか?
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