読書記録

2025年03月15日(土) 針と糸 / 小川 糸



 ベルリンで学んだゆとりある生活の知恵と工夫。
母の死で受け入れた辛い過去…。デビューから10年。
希望と再生の物語を紡ぎ続ける作家が綴る、生きることが心から楽しくなるエッセー集。『毎日新聞』日曜版連載を単行本化。



この本では、私の中の針と糸を、包み隠さずさらけ出しました。
物語を紡ぐことは、ちくちくと縫い物をすることに似ています。最終的に言葉として残るのは糸ですが、糸だけの力では、そこに何かを残すことはできません。糸は、針の力を借りることで、糸としての役割を全うできるように思うのです。
針もまた、針だけ存在していてもほとんど役に立つことはなく、その小さな穴に糸を通して、共に布と触れることで、針としての役割を発揮できます。針と糸は、お互いがお互いを必要とする存在です。
だから、針だけでも、糸だけでも、私は物語を書くことができません。私にとっては、針も糸も、両方、なくてはならない仕事道具なのです。これからも、両方を持ち歩き、大切にしていきたいと思います。











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