読書記録

2023年09月24日(日) 蟻の棲み家 / 望月 諒子

 平等が建前の社会に埋れた、理不尽な「階級」。底辺から抜け出すため、男は何を為したのか――。二人の女が別の場所で、銃で撃たれ死亡しているのが発見された。どちらも、身体を売り怠惰な生活を送る母親だった。マスコミが被害者への同情を声高に語る中、フリーの記者・木部美智子は地道に事件を追い続けるが……。格差に美談で蓋する社会と、そこから必死に這い上がろうとする男・吉沢末男。


なかなかに読み応えのある面白い物語。
最後のどんでん返しというか真犯人に驚いた。

あてにならない母に代わって妹を育てる。
自分の力で高校を卒業して、母の借金も返済する。高校教師のおかげで就職できても、会社で盗難があれば否応なく疑われる。
結局のところ 底辺にいる人間は這い上がれない。


寡黙であるというのは忍耐がいることだ。反論も同意も全てを腹に溜めておかないといけないのだから。














 < 過去  INDEX  未来 >


fuu [MAIL]