読書記録

2018年11月21日(水) 腐れ梅 / 澤田 瞳子


 菅原道真公をお祀りする北野天満宮。
道真の命日である25日に市が立つ。
行きたい、行きたいと思いながら足萎えになってしまって悔しい。

さて 物語は
菅原道真の無念を担ぎ上げ、ひと儲けしようと画策する似非巫女2人。
ほんとかうそか、案外 北野天満宮はこんなふうに作り上げられたのでは、と思わせるなかなか面白い展開。
主人公の似非巫女である綾児、最後は性病に罹って そうしてやっとタイトルの意味を納得できた。

綾児が右京の住処や北野社で観察した限り、目に見えぬものに怯え、神頼みを繰り返す者は、身分の高い人々にこそ多い。何せ守るべきものが皆無の貧乏人は、その日その日を暮らすのに手一杯で、目に見えぬ何かを恐れている暇なぞない。それに比べれば貴族や富人はなまじ地位や財産を有する分、それを守るために汲々とし、心のよりどころを求めずにはいられないのであろう。
〜この国を動かす高官も、泥水をすすって生きる下賤も、その胸底にわだかまる醜さは、案外、変わりがないのかもしれない。


それにしても力作だと思う。
この著者の物語は好きだなぁ。




 


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