2017年12月20日(水) |
恋糸ほぐし 花簪職人四季覚/田牧 大和 |
私の好きな人情時代小説だった。
あ〜ぁ ほのぼのしたえぇ話やったなぁ、と ほんわかした気持ちになって、2時間ドラマになれでもなればいいのになぁと思った。
花簪、いわゆるつまみ細工が作られる工程や、主人公である忠吉が作るお寺の精進料理が色彩豊かで、思わずつばが出る感じ。
優柔不断だけれど実直な花簪職人の忠吉、幼馴染の図体と声は大きいが心優しい住職・伊風こと大吉、その2人を子供の頃から育ててくれた杉修(さんしゅう)和尚。そこに愛らしい そら という名の瑠璃と耳の聞こえない保護された少女さきが加わり、物語は少しずつ展開されていき、最後にさきの身元が明かされる。 この少女をなんとか笑わせてやりたい、と思う大人たちの微笑ましさに今頃の虐待する親たちに見せたい、読ませたいと強く思った。
そして本物の花簪と、忠吉の作る料理が食べたいなぁという、そんな読後感。
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