読書記録

2017年11月03日(金) ある奴隷少女に起こった出来事

 ハリエット・アン・ジェイコブズ
(リンダ・ブレント   筆名)
 堀越ゆき=訳


1820年代のアメリカ、ノースカロライナ州出身の元奴隷。
幼くして両親と死に別れ、12歳で好色な医師の家の奴隷となり、性的虐待を受ける。それでも奴隷という運命に懸命に立ち向かった。

奴隷制は、黒人だけではなく、白人にとっても災いなのだ。それは白人の父親を残酷で好色にし、その息子を乱暴でみだらにし、それは娘を汚染し、妻をみじめにする。黒人に関しては、彼らの極度の苦しみ、人格破壊の深さについて表現するには、わたしの筆の力は弱すぎる。
 しかし、この邪な制度に起因し、蔓延する道徳の破壊に気づいている奴隷所有者は、ほとんどいない。葉枯れ病にかかった綿花の話はするが━我が子の心を枯らすものについては話すことはない。


少し想像力を高めて見て、私が奴隷所有者の妻としたなら、夫が若い奴隷に好色であれば嫉妬にかられ泣きわめくのか、夫に無視を決め込むのか、それとも若い奴隷に怒りをぶつけてしまうのだろうか。
そして私が当の奴隷の立場なら、奸計や罠で奴隷をいたぶる所有者に立ち向かえるだろうか、7年間も屋根裏に潜み自由になれる日の来ることを耐えれるだろうか。










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