2017年10月13日(金) |
イノセント・ディズ/早見 和真 |
英語が分からないから、イノセントという英単語を調べなきゃ、と思いながらも一気に読み終えた。
田中幸乃、30歳、確定死刑囚。 元恋人の家に放火してその妻と1歳の双子の女児を殺めた罪。 中学時代の強盗致傷事件や事件前に元恋人にストーカー行為をしていたことから、計画性や強い殺意があったとして最も厳しい判決が下された。 幸乃は控訴しなかったが反省もしなかった。
物語の後半で明かされたのだが幸乃は犯人ではなかった。 だから反省などする必要もなかったし、ただ死に場所を見つけただけのこと。 さらに中学時代の強盗致傷事件も友達の身代わりで幸乃はその場所にいただけのこと。
過ぎたこと、人生においてもしも・・・は ないけれど、それでも幸乃の母が生きていれば、母が交通事故を起こさなければ、あの日に冷たい雨が降ってさえいなければ、さらにさかのぼれば幸乃の母ヒカルが路地裏の産科医院で中絶していれば。。。
惜しむらくは産科医や義姉、中学時代の友人、元恋人の友人、刑務官など彼女の人生に関わった人たちの追想で物語は構成されていくけれど、元恋人の想いが登場しなかったことが私には物足りなく思えた。
” イノセント ” とは、純粋とか無垢とかいう意味のほかに ”無実の”という意味もあるらしい。 ともかく友人たちの抱く幸乃のイメージから冤罪に違いないとして、再審に向けて奔走するのだが刑は執行されてしまった。
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