読書記録

2016年08月05日(金) 孤舟           渡辺 淳一

 大手広告代理店の常務執行役員まで務めた主人公は、関連会社の社長ポストを蹴って定年退職した。
バラ色の自由な第二の人生を思い描いていたが、現実は夫婦関係の危機と、時間を持て余す孤独な日々だった。
ちょっとした諍いから妻が一人暮らしを始めた娘のワンルームマンションに移ってしまい、主人公の威一郎の隣りには犬のコタロウだけになってしまった。
寂しさを紛らすためにデートクラブなるものに入会するという、この作者ならではの展開となる。
男ならではのあわよくば・・・という思いから若い女性と食事をして、ひととき寂しさを忘れて満たされた思いに満たされる。
自宅に招いて、旅行にも誘うが突然帰ってきた妻に訝しがられ、ひとときのアバンチュールは終わってしまう。

結局は妻と元のさやに納まるのだけれど、高齢化社会のいま、明日ではなく最早・・・きょうは我が身の現実である。

ほぼ 我が家と同年代のお話であるだけに、妻の心情がよく分かり、できる事ならウチのダンナにも読んでほしい内容だ。


















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