2003年06月03日(火) |
蒲生邸事件 宮部 みゆき |
内容 平河町一番ホテルに宿泊していた受験生・尾崎孝史は、二月二十六日未明、ホテル火災に見舞われた。危うく焼死するところを、謎の男に助けられた孝史は、その男とともに昭和十一年二月二十六日にタイムスリップ―雪の降りしきる帝都では、今まさに二・二六事件が起きようとしていた。その日、蒲生邸では蒲生陸軍大将が自決。三宅坂一帯は叛乱軍に占領され…。この叛乱の結末、これからの昭和の戦争への悲惨な歴史を知る孝史たちにできることはないのか。"運命の四日間"に交錯する人々の命運!当代随一のストーリーテラーが時を超えて描く、ミステリー巨編。 1996年SF大賞受賞作品。
タイムスリップした昭和11年頃のおだやかで堅実な生活が営まれていた描写がとても懐かしい。いまよりもはるかに人の気持ちとか、人同士のつながりが温かくて日常がゆるやかに流れていた。2・26事件という歴史にも残る事件のさなかでも庶民はささやかに生活していたのだ。 この時代に私がまるで存在したかのような、主人公と一緒にタイムスリップしたような気がしている。主人公の孝史が若い女中のふきとの58年の時空を超えた再会を約束するが果されなかった。
この作品はフィクションであり、蒲生憲之陸軍大将はまったく架空の人物です。モデルや原形となった陸軍軍人も存在してはおりません。 という説明が本文の最後にあった。
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