昭和五十年、洋上にいる息子へ宛てられた母・晴子の長大な手紙。そこにはみずみずしい十五歳の少女がおり、未来の母がいた。三十になって知る母の姿に激しく戸惑いながら、息子・彰之は初めて母という名の海へ漕ぎ出していく 戦前から戦後へと続く母・晴子の回顧と独白は、彰之自身の記憶の呼び声となって波のごとく重なり、うねり合う。母はなぜこうも遠いのか。母とはいったい何者か。
読みごたえのある本だった。 静かに生きているようで、心の中がしっかりしている女性の物語が私はとても好きだ。人は自分に無いそれでいて自分に近いものを持っている人にあこがれることがある。私は自分を知ってもらいたい・・と日々心の中で叫んでいる。私も主人公の晴子のように息子と娘にあてて、長い手紙を書いてみたいものだ・・。でもたぶん・・書けないだろう・・書きたいのに・・!!
|