2002年12月04日(水) |
わが屍は野に捨てよ 一遍遊行 佐江 修一 |
内容 時は鎌倉時代、武門の身を捨て、家族を離れ、十三歳にして出家した一遍。一度は武士に戻りながら再出家し、かつて妻であった超一房や娘の超二房をはじめ多くの僧尼を引き連れて、十六年間も遊行して歩く。断ち切れぬ男女の愛欲に苦しみ、亡き母の面影を慕い、求道とは何かに迷い、己と戦いながらの漂泊遊行で、踊念仏をひろめ時宗の開祖となった男。その捨てる心さえも捨てた境地に踏み入り、遊行先で没するまでの、波瀾の生涯を描く長編小説。
この本の出版の新聞広告を見た。期間限定で作者の生の声が聞けるというサービスがあった。もちろん電話して作者がこの作品を書いた思いを聞いた。 静かな語り口と本を読んだあとの満足感が一致している。 以前 読んだ『黄落』の作者だが、本来は時代小説が得意のようだ。これは時代小説といっても、いわゆるチャンバラ物ではないが再読したいと思わせる作品だ。
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