さかざきが綴る「アンティークな日々」
DiaryINDEXpastwill


2005年04月03日(日) エンジェルコレクションのはじまり(私自身のこと)

さて、なぜアンティークのお仕事を始めるようになったかというと...。話は約10年前へさかのぼります。学生時代、日本画を専攻し、卒業後も東京在住の師について制作活動を志し、働きながら絵を描く生活を送っていた私は、当時、日展という公募展に出品したり、絵を描く仲間でグループ展を開いたり、(今思うと「なんと大胆な!」と思うのですが)そういったグループ展を銀座の松屋や大阪の大丸で開催したりして制作活動を行なっていました。

日本画というのは、岩絵の具という顔料を膠で溶き、それを麻紙と呼ばれる麻の繊維で出来た和紙に描くのですが、絵の具にしても、紙にしても、画材は油彩以上に非常に高価です。また、昼間は仕事がありますから、制作活動は毎晩夜遅く、世の中が寝静まってからになります。「仕事をしなくては絵の具も買えず、仕事をしていては描く時間が無い」というジレンマに陥った私は、自分で働く時間をコントロールできる仕事は無いものかと考え、趣味で作ったアクセサリーを雑貨店に卸していたことも手伝って、「アンティークを仕入れてみよう!」と、後先を考えず、思い立ったのでした。そして、当時フローリストの勉強にイギリスへ留学していた友人を頼って、アンティークの買付けに日本を飛び出したのが、エンジェルコレクションの始まりです。その後、お客様を含め、様々な方々お世話になり、現在のエンジェルコレクションとしても私が存在しています。

その時お世話になった友人は、その後日本へ帰り、フローリストとして活躍していましたが、現在ではなんと三つ子の男の子のお母さんとして毎日忙しい日々を送っているようです。かくいう私は、エンジェルコレクションを軌道に乗せるまで、あまりにも忙しく、本末転倒というか、結局もともとの理由であった絵を描く時間など、これっぽっちも無くなってしまいました。大切だった画材は、すべてしまってしまいましたが、いつの日かおばあさんになって、アンティークの仕事のかたわら、また絵の具を溶いたり、絵筆を持ったりすることが、私の夢です。

現在、絵を描くことはなくなってしまいましたが、アンティークをセレクトするという行為、物を選ぶという行為は、絵を描くこと、物を作ることととてもよく似ている、と感じています。


Angel Collection |MAILHomePage