ゆく水に数書くよりもはかなきは

2005年03月11日(金) 浮気性

日が沈んだ頃、朝の駅まで送ってもらった。

何を話したらいいのか判らなくて
前を行く車のテールランプを数えていた。



片方が二重瞼で反対が一重だとか
左右で目の大きさが違う男は、根っからの浮気性だって
人相手相の勉強をしているという同僚が言ってたっけ。

…あんた正しいかも。
自分の身をもって体験してしまった以上、納得せざるを得ない。
左目が一重、右目は二重瞼の男。
運転中の横顔は、左の一重瞼しか見えなかったけれども。


浮気を繰り返す男。
それはよほど特殊な存在なのだと思っていた。
だけど。
ごく普通の顔をして
私の隣で煙草を吸いながら運転している男がそうなのだ。
たぶん都会の雑踏ですれ違っても
周りの人間との区別をつけることはできないほど、普通の男。

そんなもんなんだろうか。

何より自分がそんな浮気男と関係を持ってしまったことが
どうにも実感できなかった。



かなり後悔していた。


「また逢えるかな」
聞かれて答えを曖昧にしたのは
もう二度と逢わないだろうと考えていたからだった。


だが、予測は裏切られた。



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