大好きだった人がいる。そもそもが手の届かない人。思っても報われぬのが前提の人。それでも、伸ばした指が僅かに触れてしまったから。だから期待してしまったのだ。だから望んでしまったのだ。鞦韆のリズムがいっときだけ合うようにあの人と私も、一瞬だけ触れ合うのが運命だったのだろう。時が過ぎれば鞦韆はすれ違う。何もなかったように、時の終わりを告げられて。胸の中にまだ貴方がいるのに。腕が、肌が貴方をこんなにも覚えているのに。↑エンピツ投票ボタンMy追加