++いつか海へ還るまで++

雨が降る 代わりに泣いて いるように

降り続く雨 降り止まぬ雨


2009年07月07日(火) 見送る。


「籠の鳥」/ 歌 加藤登紀子



もう一人の母のような存在だった。

今 祖母の時間はその最期の時へ向かって
ゆっくりと流れている。

彼女の意識は既にほとんど無い。
点滴からの水分と栄養が
命の灯火をかろうじて灯しつづけている。


人様からみれば 充分過ぎるほどの年月を祖母は生き抜いてきた。
大往生といえる年齢。

いつか誰もが往く道。
それが遅くとも早くとも。

それでも 心は散々に乱れる。
押し殺した悲鳴と血の涙を流し続ける。


もしかしたら、万が一にでも希望を持てるのなら
どんなにいいだろうか。
願い祈ることに託せるなら 
それが奇跡という名でも。


ただ砂時計の砂が落ちていくのを
成す術も無く見ているしかできないのは 
身を裂かれるように辛い。

夫の時もそうだった。

確実に迫り来る その瞬間 を
見届けるという役割の残酷さ。


またわたしは見送らなければならない。
逃げ出すことも目を逸らすこともできない。


いつかわたしも見送られる日が来るだろう。


その日まで
「生」と「死」の重みを噛み締めながら
生きて、

そうして

ちゃんと死んでいくことができるだろうか、わたしも。
産まれてきた時のように。



彼女の半生は波乱に満ちた苦労の絶えないものだった。
晩年こそ、娘である母夫婦と共に穏やかな日々であったけれど
孫であるわたしは結局、同じような道を歩いてしまった。
救いは 彼女がもう その出来事 を覚えていないこと。

旅立ちは穏やかで良い想い出だけに包まれたものであって欲しい。
当たり前のように居てくれた大切なひと。
いつか来る別れを覚悟しながらも
いつまでも其処に居てくれるような気がしてた。



「籠の鳥」の歌は よく祖母が口ずさんでいて
わたしもいつの間にか覚えた。

しっかりもので気が強い彼女の
その時だけは不思議に頼りなく細い歌声が
今も 耳に残る。


おばあちゃん・・・・・・・。

ずっとずっと

大好きだよ。


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                            ゆうなぎ


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