| 2006年10月18日(水) |
かさぶたを掻き毟って出た血の色はやっぱり赤だった |
きっかけは些細なことだった。
Kからのいつもの電話と雑談。 その中で最近起こったある個人情報流出事件の話を聞かされた。 Kはわたしに注意も促したかったのだろうし 本当に恐いね という感情を共有したかったんだと思う。
この出来事について言えば二つの要素があって わたしに関して言えば防御はしているけれども 完全に安全かと言われればそれはないだろうと思っている。 というか このネットの世界に限らず個人情報の流出を 現在では完璧に防げると考える方が甘いだろう。
少なくともこうしてPCやネットに関わる年月が長くなるにつれ 傲慢な言い方をすればKなどよりもその恐さは思い知っているつもりだ。
ただ わたし個人に関して言えば色々なことがありすぎて 失くしてきたものやもう望めないものが多すぎて。
確かに子供達や両親、祖母達 またはKや友人達に 何かが及ぶようなことがあれば残る力の全てを振り絞ってでも 闘うだろうし守ろうとするだろう。
でも わたし個人のことなら 万が一があっても もう煮るなり焼くなりすればいいじゃないかという 諦観ともいえる諦めがある。 第一 これ以上どう傷ついて失くすっていうんだ?
多分 そんなわたしの言葉の端々の雰囲気からくるものが Kには奇異に感じられたのじゃないかと思う。
”自分とは考えが違うんだね。 自分だったら絶対に嫌だけど**さんはそうじゃないんだ・・。”
そんなようなことを言われた。
その瞬間に
何かが頭の中で
弾けた
平気なわけ ないじゃない。 ただ もう傷だらけで痛みの感覚が普通になってしまってるから 今更 何かあってもこれ以上 あたし自身から失くすものが無いだけだよ・・。
痛くないと思う? 苦しくないと思う?
失くすものがあるから嫌だし恐いんだよね?
確かにあたしだって子供達や両親や大ばあやKちゃんや 大事な友達に関わってくることなら絶対に闘う。命かけて守る。
だけどあたし自身のことなら もういい。 人からどんな風に思われるかって考えていたら 今の時点でもう生きてないよ。
欝病のことだって生きていく為にいろんなところで カミングアウトした。 それでどう思われるかよりもそれを話さないと 子供達に関わってくるから。
あたしが誰に頼れる? あたしを誰が助けてくれる?
どれだけしんどくても苦しくても自分のこの足で 背負って抱いて歩き続けていくしかない。
これが現実なんだよ。 今からもずっと続いていくあたしの現実なんだよ。
あたしを傷つけたかったらまだ足りないなら 誰でも傷つければいいと思うよ。
だってもうどれが痛みなのかなんてわからないもの。 息をして生きることだけで必死で わからないもの・・・。
最後はもう自分でも誰に何言ってるんだろうと思いながら話してた。 もっと色々話した気がするけど覚えてない。 いや もう 話してたんじゃなくて叫んでた。 流し尽くして枯れていたはずの涙がボタボタと流れて 視界を見えなくした。
嗚咽をもらしてドモリながらも 咆哮ともいえるような声をあげて
あたしは・・・。
嵐が去って沈黙が続いた。
こんなこというつもりじゃ無かった・・ごめん。 と わたしが言った。
ううん。僕の方こそ。ごめんね。 と Kが言った。
かさぶたを衝動的に掻き毟って滲み出した赤い血をボンヤリ見ながら もう感じないはずの鈍い痛みに
最後の一粒 残っていた涙が こぼれ落ちた。
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ゆうなぎ
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